そもそも、筋膜って何?
筋膜とは、体中の筋肉や内臓などを包んでいる膜状の組織のことです。
体を支えたり組織を保護したり力を伝達したりと、いろいろな役割を持っています。
筋膜の成分は主にコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質と水分で、頑丈さと柔軟性を兼ね備えています。
しかし、筋膜は長時間同じ姿勢で過ごしたり、急に激しく運動をしたりすることで、柔軟性を失い、硬くなることがあります。
これを筋膜の癒着と言います。
筋膜リリースをしよう
筋膜が癒着すると、肩こりや腰痛、下半身のむくみなど、いろいろな不調につながっていきます。
そこで登場するのが筋膜リリースです。
筋膜リリースとは、その名の通り「筋膜をほぐす(リリースする)」ことです。
硬くなった筋膜をほぐすことで、さまざまな不調へとアプローチしていきます。
筋膜リリースは、ストレッチやマッサージなどに取り入れられることが多く、自分でできるもののほかにも、整骨院や接骨院、整体院、リラクゼーションサロンなど、さまざまな施設で施術として受けることもできます。
多少お金がかかるのと、筋膜リリース対応の施設なのかを調べる必要がありますが、目的に合った専門的な施術を受けられるのでこちらもおすすめです。
注意点として、筋膜リリースは体をほぐしたり血行に働きかけたりする関係で、ケガや手術後間もない人、悪性腫瘍・がんや感染症にかかっている人は行ってはならないとされています。
また、筋膜リリースをして痛みが強くなった場合には、すぐに筋膜リリースをやめて近くの病院に行き、適切な診断を受けましょう。
筋膜リリースに便利なアイテム
筋膜リリースを効率よく行うために便利なアイテムがフォームローラーです。
フォームローラーとは、表面に凹凸の付いた円柱状のローラーです。
体の表面に沿わせながら転がすことによって誰でも簡単に筋膜をほぐせます。
プロのアスリートやモデルにもたくさんの愛用者がいます。
【関連記事:筋膜リリースをするのに役立つ「フォームローラー」の選び方とは?】
筋膜リリースをやってみよう
ここからは目的別に、具体的な筋膜リリースのやり方についてご紹介していきたいと思います。
肩こりに悩む人に!肩甲骨付近の筋膜リリース
肩こりに悩む人には肩甲骨付近の筋膜をほぐす筋膜リリースをおすすめします。
肩甲骨とは、肩の付け根から肋骨に覆いかぶさるように付いている骨で、この周囲の筋膜が硬くなっていると肩こりにつながりやすくなるので、しっかりとほぐしましょう。
肩甲骨への筋膜リリースのやり方
①壁を背にして立ちます。
②フォームローラーを背中で挟んで体重を預けます。
③ひざを曲げたり伸ばしたりして、背中に当てたフォームローラーを上下に転がします。
ゆっくりと時間をかけながら、4~5往復行いましょう。
腰痛対策!腰の筋膜リリース
腰の筋膜が硬くなっていると腰の筋肉が上手く働かなくなって腰痛を引き起こすことがあるので、腰の筋膜をほぐして腰痛対策をしましょう。
腰の筋膜が腰痛にどのように関係してくるかは、以前の記事でご紹介しています。
腰への筋膜リリースのやり方
①うつぶせの状態で左のひざを外側に曲げ、両手で上体を起こします。
②フォームローラーを右の股関節の下に差し込みます。
③左のひざを曲げ伸ばしすることで、右足の付け根の筋膜をゆっくりとほぐしていきます。
4~5往復ほど行えばOKです。
④右ひじを曲げ、上体を左側に向けます。
上の筋膜リリースよりも側面をほぐすイメージです。
こちらも4~5往復行いましょう。
腰の右側をほぐし終わったら、左側も同様にほぐします。
スッキリした下半身を目指そう!ふくらはぎへの筋膜リリース
スッキリとした下半身を手に入れるなら、ふくらはぎへの筋膜リリースがおすすめです。
ふくらはぎの筋膜が硬くなることで、下半身がむくみやすくなり、スタイルも崩れやすくなります。
ふくらはぎの筋肉をしっかりと機能させることで、ボディメイクの効率アップを図ることにもつながります。
【関連記事:スポーツにも大切な「ふくらはぎ」の筋膜をリリースしよう】
ふくらはぎへの筋膜リリースのやり方
①足を伸ばして座ります。
②フォームローラーを左のふくらはぎの下に差し込みます。
③右のふくらはぎを、左のふくらはぎに乗せます。
④ひざを曲げたり伸ばしたりして、左のふくらはぎの下でローラーを転がします。
右足に体重をかけて圧を調整しながら、ゆっくりと4~5往復ほど行いましょう。
※圧が弱い場合、少しだけ腰を浮かせることで強めに圧をかけることができます。
左のふくらはぎをほぐし終わったら、右側も同様にほぐしましょう。
キュッと上がったヒップを!お尻の筋膜リリース
お尻の筋肉には、中臀筋(ちゅうでんきん)や小臀筋(しょうでんきん)と呼ばれる、股関節の動きをつかさどるものがあります。
キュッと上がったヒップを手に入れるためには、こうしたお尻の筋肉がしっかりと機能する必要があります。
お尻の筋膜をほぐして、お尻の筋肉が十分に機能するように働きかけましょう。
お尻への筋膜リリースのやり方
①座った状態で、両手と右足を床につけて腰を浮かせ、左のお尻の下にフォームローラーを差し込みます。
②左足を右ひざの辺りに乗せ、前後に体重移動してお尻の筋膜をほぐしていきます。
ゆっくりと、4~5往復ほど行うと良いでしょう。
左のお尻をほぐし終わったら、右側も同様にほぐしましょう。
知らない間に疲れているかも!足裏の筋膜リリース
足裏には足底筋膜があります。
足底筋膜は足の裏のクッション性を保つ機能があり、歩いたり走ったり、ジャンプしたりするときに体を支えるようできています。
しかし、靴が合っていなかったり、運動不足だったりすると足底筋膜がだんだん疲れてクッション性を失っていき、足の裏や足首、ひざの痛みにつながることがあります。
足の裏へ筋膜リリースすることで足底筋膜を軟らかくほぐして、足の裏が十分なクッション性を得られるようにアプローチしましょう。
足底筋膜への筋膜リリースのやり方
①フォームローラーを床に置き、左足で踏んで体重をかけながら前後に4~5回ほど往復します。
左足がほぐし終わったら、右足も同様に行いましょう。
きれいな姿勢は筋膜から?大胸筋の筋膜リリース
筋膜が癒着することで、姿勢が崩れやすくなることがあります。
その代表例が大胸筋の筋膜です。
筋膜は全身でつながっているので、大胸筋の筋膜が硬くなると、それに引っ張られて筋膜は胸の方に集まっていきます。
インナーシャツを胸の真ん中でねじってみると分かりやすいかもしれません。
シャツをねじるにつれ、生地が胸の方に寄り集まっていくはずです。
姿勢は前のめりになり、いわゆる猫背に近づいていきます。
同じようなことが筋膜でも起きているので、筋膜リリースで大胸筋の筋膜をほぐし、姿勢が崩れないようにしましょう。
大胸筋への筋膜リリースのやり方
①うつぶせに寝そべります。
②右ひじで上体を起こし、左胸の下に、体の向きと平行にフォームローラーを差し込みます。
③左腕を横に伸ばし、左胸に体重をかけます。
④左右に体重移動して、体の中心から左肩との間でフォームローラーを転がします。
4~5往復ほどゆっくりと行いましょう。
左胸がほぐし終わったら、右胸も同様に行います。
おわりに
今回は、目的別に筋膜リリースのやり方についてご紹介しました。
人それぞれ、さまざまな悩みや目的を持っていることでしょう。
それらを解決するために、いろいろなやり方で体のケアをしていると思います。
ぜひその中に、今回ご紹介した筋膜リリースも取り入れてみてはいかがでしょうか。