筋膜について

腰痛を吹き飛ばすには「筋膜」が重要だった

日本人の多くは腰痛に悩んでいます。
厚生労働省が行った国民健康基礎調査では、腰痛は肩こりと並んで健康に関する悩みの最上位に位置しています(男性では1位、女性では2位)。
そんな腰痛ですが、さまざまな対処法が生まれています。
今回は、腰痛対策に重要な筋膜リリースについてご紹介します。

腰痛を吹き飛ばすには「筋膜」が重要だった

【関連記事:つらい腰痛の原因と対処法!】

腰の周辺にはいろいろな筋肉がある

腰の周りには、広背筋(こうはいきん)などの背中の筋肉や、臀筋(でんきん)や梨状筋(りじょうきん)といったお尻の筋肉、内転筋(ないてんきん)やハムストリングといった下半身の筋肉など、さまざまな筋肉が存在します。

それらの筋肉が互いに関わり合うことで、腰を支えたり動かしたりしています。

筋膜の不調が腰痛につながる?

筋肉の周りは、筋膜という組織に包まれています。

筋膜は、それぞれの筋肉を包むことで筋肉を保護したり、筋肉が生み出した力をほかの筋肉に伝えたりする役割を持っています。

そんな筋膜ですが、長時間同じ姿勢で過ごしたり、強い負荷が加わったりすることでカサブタのように硬くなることがあります。

硬くなった筋膜は、体にさまざまなトラブルを引き起こすことも。
腰では多くの筋肉が関わり合っているため、どこかの筋膜がトラブルに見舞われると、それにつられて腰回りの筋肉も不調を起こし、やがて腰痛へとつながります。

腰痛はその名の通り、腰に痛みを覚える症状のことです。
腰痛を引き起こす原因のひとつとして、筋肉の緊張が挙げられます。

筋膜が筋肉や神経などを圧迫したときに、筋肉が緊張することがあります。
筋肉は緊張すると、血液からの栄養を上手く受け取れなくなって筋力が低下したり、違和感から体をかばって悪い姿勢をとるようになったりします。

すると、腰を支えている筋肉にも普段より大きな負荷がかかるようになり、ある一定の許容量を超えたときに、腰痛となって現れることがあります。

硬くなった筋膜にアプローチするのが筋膜リリース

近年話題になっている筋膜リリースとは、筋膜を軟らかくほぐす方法のことです。
筋膜が腰回りの筋肉に不調を起こして腰痛につながっている場合、筋膜をほぐすことによって不調にアプローチできる可能性があります。

最近では筋膜リリース用のアイテムもいくつか販売されており、自分自身の手で筋膜リリースできる方法も増えてきています。

筋膜リリースをしよう

ここからは実際に、腰痛ケアのために役立つ筋膜リリースの方法についてご紹介します。

こんな道具があると便利!筋膜リリース用の道具

筋膜リリースをする際、便利なアイテムが二つあります。

フォームローラーについて

フォームローラーとは、筋膜リリースを効率よく行うためのアイテムで、表面に凹凸の付いた円柱状のローラーです。
筋膜リリースしたい部位に押し当てて転がすことで、簡単に筋膜リリースができる優れもの。

比較的安価なものなら千円台で購入できることからも人気が高く、プロスポーツ選手やモデルなど、多くの愛用者がいます。

フォームローラーは大きさや材質によって圧の加わり方が変わるため、自分に合ったものを使用しましょう。

【関連記事:筋膜リリースをするのに役立つ「フォームローラー」の選び方とは?】

【関連記事:ローラーを使った「筋膜リリース」!】

マッサージボールについて

マッサージボールは少し硬めのボールで、基本的な使い方はフォームローラーと同じですが、フォームローラーよりもピンポイントに筋膜リリースできるのが特徴のアイテムです。

やや大きめのボールタイプのものと、小さめのボールを2つつなげて1つにしたタイプの2種類があります。

ネット通販や量販店などで千円前後で購入でき、こちらも手軽に筋膜リリースできる商品として人気です。

臀筋への筋膜リリース

臀筋はお尻の筋肉のことで、その中には大臀筋(だいでんきん)や中臀筋(ちゅうでんきん)、小臀筋(しょうでんきん)などの筋肉があります。

手順

使用する道具:フォームローラー

①左向きに寝て、左ひじを立たせます。
そして右ひざを曲げ、右足を左ひざの後ろにつきます。
地面についている左ひじ、左足、右足の3カ所で体を支えます。

②そのまま、フォームローラーの上に左のお尻を乗せます。

③上下に体重移動を4往復行います。
お尻の筋膜を縦方向にほぐしていきます。

④次に、フォームローラーの上に乗ったまま体をお腹側や背中側に倒します。
お尻の左前側から後ろ側にかけて、筋膜を横方向にほぐしましょう。

左側が終わったら、右側も同様に行います。

 

臀筋は、主に太ももを後ろから引っ張って、歩いたりしゃがんだりする際に体のバランスが崩れるのを防ぐ役割を持っています。

そのため、お尻の筋力が低下すると、体のバランスが崩れて姿勢が悪化しやすくなります。
姿勢の悪化は腰痛のほかに肩こりにもつながるので、しっかりとお尻の筋膜をほぐして、臀筋が十分な機能を発揮できるようにしましょう。

梨状筋への筋膜リリース

梨状筋は股関節の奥にある筋肉のひとつです。
骨盤と下半身の骨をつないでおり、下半身を外に開く動きをつかさどっています。
また、股関節を安定させて体のバランスを保つ役割も持っています。

手順

使用する道具:マッサージボール

①両足を伸ばした状態で座ります。

②右ひざを曲げ、後ろに両手をつきます。

③左ひざは伸ばしたまま、左のお尻をマッサージボールの上に乗せます。
前後に体重移動して、左のお尻から太もものあたりを往復します。
4~5往復しましょう。

④そのままの状態で両足を伸ばし、左ひざを曲げたり伸ばしたりしましょう。
左の太ももからお尻の後ろ側が伸び縮みしているのを感じながら4~5回ほど行います。

⑤今度は両ひざを曲げた状態で足を地面につき、左足首を左右に開いたり閉じたりしましょう。
これまでが縦の動きなら、これは横の動きです。
お尻の筋膜が左右にほぐれていくのを感じましょう。
左側が終わったら、右側も続けて行いましょう。

 

実は梨状筋は、腰からお尻にかけて伸びる神経の通り道を形成している筋肉のひとつであり、梨状筋が硬くなると神経を圧迫して、腰やお尻に痛みが現れることがあります。

筋膜リリースで梨状筋に関わる筋膜をほぐし、腰やお尻の痛みや不快感につながらないようにしましょう。

内転筋への筋膜リリース

内転筋は太ももの内側にある筋肉です。
「内もも」と言った方が聞きなじみがあるかもしれません。
内転筋には両足を内側に閉じて股関節を安定させる役割があります。

手順

使用する道具:フォームローラー

①うつぶせになり、左足を横に出して左ひざを曲げます。

②フォームローラーに左の太ももの内側を乗せましょう。

③太ももの内側に沿ってフォームローラーを左右に転がします。
しっかりと体重をかけ、4往復すると良いでしょう。

 

内転筋の機能が低下して、股関節のバランスが悪くなると、腰回りの筋肉が緊張しやすくなり、腰痛へつながる可能性があるので、内転筋をしっかりとほぐして腰痛に対策しましょう。

広背筋への筋膜リリース

広背筋は背中に覆いかぶさるように付いている筋肉です。
背中を両脇から引き締める筋肉で、ウエストのくびれを目立たせるほか、姿勢を後ろから支える役割を持っています。

 

 

手順

使用する道具:フォームローラー

※壁のある場所で行いましょう。
もし壁がない場合や、強めの圧がほしいときには、床の上に寝転がって行ってもOKです。

①壁に背を向けて立ちます。
壁と背中でフォームローラーを挟むように押し付けます。

②フォームローラーに体重をかけ、膝の曲げ伸ばしで上下に動きましょう。
背中と壁のあいだでフォームローラーが転がるのを感じながら、10秒ほど行います。

もちろん、フォームローラーの代わりにマッサージボールを使ってもOK。

 

広背筋がうまく機能していないと、姿勢をまっすぐに支える力が落ちていき、だんだんと猫背になっていきます。
猫背は腰痛や肩こりなどにつながる姿勢のひとつなので、広背筋をケアして猫背にならないようにしましょう。

ハムストリングへの筋膜リリース

ハムストリングとは、太ももの裏側にある筋肉群のこと。
主にひざを曲げ伸ばしするときに使われる筋肉で、内転筋などとともに下半身を支える重要な筋肉です。

手順

使用する道具:マッサージボール

①両足を伸ばした状態で座ります。

②右ひざを曲げ、後ろに両手をつきます。

③左ひざは伸ばしたまま、左の太ももの裏をマッサージボールに乗せます。
前後に体重移動して、左の太ももから左ひざの手前あたりを往復します。
4~5往復しましょう。

④左の太ももを乗せた状態で、左の足首を左右に振って、マッサージボールの上でももの裏を左右にほぐしていきます。

左のハムストリングが終わったら、右のハムストリングも同様にほぐしましょう。

 

ハムストリングの筋膜が硬くなると、崩れやすいバランスを支えるために腰回りの筋肉が使われるため、姿勢が悪くなり、結果として腰痛へとつながっていきます。
筋膜リリースでハムストリングの筋膜をほぐし、バランスが崩れないようハムストリングで体を支えられるようにしましょう。

おわりに

今回は、腰痛への対策として使える筋膜リリースについてご紹介しました。
腰痛は、腰に関わるさまざまな筋肉が上手く機能せず、筋力が低下したり姿勢が悪くなったりすることで起きる可能性があります。
筋肉がしっかりと機能するように、筋膜リリースで筋膜をほぐしましょう。

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