筋膜リリースとは
筋膜リリースは、筋膜をほぐして軟らかくする方法の総称です。
方法や道具を問わず、筋膜をほぐす行為全般に当てはまるので、ストレッチやマッサージなど、さまざまな動きに取り入れることができます(そしてその結果、業界ごとに説明文が変わるので、初めて調べた人が混乱しやすい単語でもあります)。
ボディケアや美容などの業界では、マッサージに筋膜をもみほぐす手法を取り入れて、筋膜リリースを行うケースが多いです。
筋膜とは
筋膜は、筋肉や内臓を包む膜状の組織で、ボディスーツのように全身に張り巡らされています。
頑丈なコラーゲンと弾力のあるエラスチンという2つのたんぱく質が主成分で、それらが交互に組み合わさることで、筋膜は簡単にはちぎれない頑丈さと、ゴムのように伸び縮みする性質を持っています。
本来であれば軟らかい筋膜ですが、長時間同じ姿勢で過ごしたり強い衝撃を受けたりすると、カサブタのように硬くなることがあります。
これを筋膜の癒着といい、姿勢の悪化や肩こり、腰痛などの不調を引き起こしたり、筋肉や関節の動きを妨げたりと、さまざまな不調の原因のひとつになることがあります。
筋膜の癒着を取り除いて不調にアプローチ
癒着した筋膜を柔らかくほぐすことによって、不調にアプローチしたり、運動時のパフォーマンス向上を目指したりします。
目的や体質などに応じて相性の良い筋膜リリースの方法も異なるので、適切な方法を選び出しましょう。
筋膜リリースにはどんなものがある?
筋膜リリースで筋膜をほぐす方法は、自分で行うものと、専門家の手を借りるものの大きく二種類に分けることができます。
そこでここからは、筋膜リリースの種類についてご紹介します。
自分で行う筋膜リリース
自分で行う筋膜リリースには、ストレッチで体を伸ばす方法と、素手や道具で自分の体をもみほぐす方法があります。
個別に見ていきましょう。
ストレッチによる筋膜リリース
テレビ番組で紹介されたこともあり、筋膜リリースと言えばこの方法というイメージを持っている人も多いでしょう。
ストレッチで体を伸ばすときに、筋膜を重点的に伸ばすようにすることで、筋膜を軟らかくほぐします。
専用の道具が不要で、まわりの安全が確保できる安定した場所でならどこでも行うことができる(ものによっては椅子に座ったまま行うことも可能)ので、誰でも簡単に筋膜リリースができます。
ヘルスケアや美容、スポーツなどの業界を問わず、普段の生活の中でしっかりとボディメイクしたい人向けの筋膜リリースです。
また、近くに目当ての施設がない人や、なかなか運動する時間が取れない人たちにもおすすめです。
フォームローラーによる筋膜リリース
フォームローラーという名前を聞いたことはあるでしょうか。
フォームローラーとは筋膜リリース用に開発された円柱形のローラーで、表面に凹凸が付いており、体に押し当てて転がすことで筋膜リリースできるアイテムです。
背中や足の裏のように、普段なら一人でもみほぐすことが難しい場所にもアプローチできるので、筋膜リリースのためだけでなく、マッサージ目的で購入する人もいます。
フォームローラーは、通販サイトや量販店などで販売されており、そのお値段も千円台のものから数万円のものまでさまざまです。
運動前後のウォーミングアップやクールダウンで活用している人も多く、最近ではアスリートの他にもモデルやタレントがフォームローラーを持ち運んでいるのを見かけることもあります。
そのため、スポーツに筋膜リリースを取り入れたい人におすすめの方法と言えるでしょう。
専門家に行ってもらう筋膜リリース
ここまでご紹介してきたのは、自分で行う筋膜リリースの方法です。
ここからは、専門家の手を借りて筋膜リリースする方法についてご紹介します。
手技療法
素手で行うマッサージや姿勢矯正のことを手技療法と言います。
一般的な手技療法では筋肉をもみほぐして血行促進などに働きかけますが、筋膜リリースの場合は、筋肉ではなく筋膜をもみほぐすことに重きを置いています。
背中や腰、お尻などに行うことが多く、マッサージ店や整体院、ボディケアサロンなどで受けられます。
誰かに行ってもらう筋膜リリース全般に共通して言えることですが、力加減には注意が必要です。
プロの施術者が行うので技術的には安心できますが、施術を受けるのは自分の体であり、体の状態は自分にしかわかりません。
そして、同じ施術でも人によって感じ方は異なり、ある人にとっては物足りない力でも、自分にとっては強すぎることもあります。
強すぎる力で施術を受けると、もみ返しのような思わぬケガにつながるので、もんでもらったときに強い痛みを覚えるようなら、施術をストップし、力を抑えてもらいましょう。
メディセル筋膜療法
メディセルとは、筋膜リリースのために生み出された施術機器で、吸引ポンプとローラーが組み合わさったようなつくりになっています。
手技療法と違い、体の奥に押し込むのではなくポンプによる吸引の力を利用してほぐすことが特徴です。
上から強く押し込まないため、筋膜周辺の組織が傷つきにくく、もみ返しのリスクが少ない方法です。
顔や首のようにデリケートな場所にもアプローチできるので、ヘルスケア以外に、美容やスポーツなどの分野で取り入れられています。
そのため、メディセル筋膜療法は接骨院や整骨院、整体院のほか、ボディケアサロンやスポーツジムといった施設でも受けられます。
注意点としては、メディセル筋膜療法は保険適用外の施術なので、予算の計画をしっかり立てておくことです。
無料体験や体験割引を取り入れている施設もあるので、それらのサービスを利用しても良いでしょう。
エコーガイド下筋膜リリース
整形外科やペインクリニックなどの医療機関で受けられる筋膜リリースが、エコーガイド下筋膜リリースです。
エコー(超音波)で癒着した部分を確認しながら、患部に生理用食塩水や薬液を注入する方法で、腰痛の治療などに使われています。
これまでご紹介したものと違い、医療機関でのみ受けられる点や、保険が適用できるかどうかは症状によって変わる点に注意が必要です。
その他にも、鍼を筋膜リリースの施術に見立てて行ったり、中国のかっさを使った施術に筋膜リリースを取り入れたりと、筋膜リリースやそれに似た技術を取り入れているところはたくさんあるので、近くに筋膜リリースを導入している施設がないか探してみてはいかがでしょうか。
おわりに
今回は、近年話題になっている筋膜リリースについて、どのようなものがあるのかご紹介しました。
筋膜リリースはあくまで筋膜をほぐすことを指した言葉なので、筋膜リリースの中でもさまざまな方法があり、人によっておすすめの方法が異なります。
今回の記事を参考に、自分に合った筋膜リリースを行いましょう。