筋肉痛ってどうして起こるの?
そもそも、筋肉痛はなぜ起こるのでしょうか。
まずは筋肉痛が起こる原因についてお伝えします。
筋肉痛が起こる原因は筋肉の炎症?
実は、筋肉痛のメカニズムは完全には解明されていません。
近年では、それまで定説とされていた「運動で生まれる乳酸が、疲れや筋肉痛を引き起こす」という説よりも、「筋肉の損傷による炎症が痛みの原因」と言う説が有力視されています。
筋肉が損傷する理由は、激しい運動やケガなどさまざまですが、その中のひとつに、筋膜の癒着による筋力の低下があると考えられています。
筋膜って何?
「そもそも、筋膜って何?」という方も多いでしょう。
筋膜とは、筋肉や内臓などを包んでいる膜状の組織のこと。
伸縮性と頑丈さを兼ね備えている筋膜は、全身の組織を包み、支えていることから、「第二の骨格」とも呼ばれています。
筋膜は「癒着」してさまざまなトラブルの原因に?
筋膜は、同じ姿勢で長時間過ごしたり、外部から強い衝撃を加えられたりすることによって、カサブタのように硬くなることがあります。
この現象は「筋膜の癒着」と呼ばれ、癒着した筋膜が体のさまざまなトラブルにつながることがあると言われています。
その中のひとつが筋力の低下です。
癒着した筋膜は、近くにある筋肉を圧迫して緊張させることがあります。
緊張した筋肉には十分な血液が行き渡らなくなるため、血液によって届けられるはずだった栄養も届かなくなる可能性があります。
栄養が十分に届けられなかった筋肉は、筋力などのさまざまな機能が低下します。
筋力が低下すると、それまで耐えることのできた負荷に筋肉が耐えられなくなって損傷しやすくなると考えられています。
筋膜の癒着が筋肉の損傷を引き起こし、筋肉痛につながると言われる理由はここにあります。
また、癒着した筋膜が引っかかってスポーツ時の筋肉の動きを悪くしたり、姿勢の悪化や肩こりなどを引き起こしてパフォーマンスを低下させたりする可能性もあります。
筋膜をほぐして筋肉痛にアプローチ
筋膜リリースは、筋膜を軟らかくほぐす方法のことです。
癒着した筋膜を元の軟らかさに戻したり、筋膜が軟らかい状態をキープしたりといった目的で行われます。
筋膜をほぐし、筋肉が負荷に耐えられるようにアプローチします。
正しい方法で筋膜リリースを行うことが大事
筋膜リリースは「ついやり過ぎてしまう」ことの多いケアのひとつです。
特に、後述するローラーを使った筋膜リリースは、マッサージに似たような感覚で行うことが可能なため、強い刺激があれば効くと考えて必要以上の力で行いがちです。
その結果、思わぬケガや不調につながる可能性もあるため、適切な方法・負荷・頻度で行うことを心がけましょう。
負荷の目安としては、「痛気持ちいい」と感じるくらいがちょうどいいレベルです(個人差はあります)。
また、筋膜リリースでは筋膜を解きほぐす関係で、その筋膜周辺をもんだり、伸ばしたりします。
筋肉痛は筋肉の炎症で起きると考えられているため、筋膜リリースをしようとして、患部を無理にもんでしまうと、余計に筋肉痛が長引く可能性もあります。
痛みの激しい「急性期」には、筋膜リリースを行うのを避け、「PRICE処置」と呼ばれる応急処置を行うようにしましょう。
PRICE処置について、詳しくは過去の時期でご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。
【関連記事:応急処置最前線!ケガに対する「PRICE処置」とは】
筋膜リリースをやってみよう
筋悪リリースで押さえておきたい大事なポイントをお伝えしたところで、ここからは、具体的な筋膜リリースの方法を、部位別に分けてご紹介していきます。
「フォームローラー」で効果的に筋膜リリース!
効率良く筋膜リリースを行うためにおすすめのアイテムがあります。
それが「フォームローラー」と呼ばれる、表面に凹凸の付いた樹脂製のローラーです。
フォームローラーは、体に沿って転がすだけで誰でも簡単に筋膜リリースができる優れものです。
市販されているものは数千円くらいで購入できるほか、家庭にあるものを使って自作もできます。
今回ご紹介する筋膜リリースは、すべてこのフォームローラーを使ったものです。
ふくらはぎの筋膜リリース
※安定した床の上で行いましょう。
①床の上に両足を伸ばして座ります。
②左のふくらはぎの下にフォームローラーを差し込み、右足を左足の上に乗せます。左のふくらはぎをフォームローラーと右のふくらはぎで挟むようなイメージです。
③後ろの床に両手をついて、腰を浮かせます。左のふくらはぎと両手の3カ所で体重を支えるような感じです。
④フォームローラーの上で左のふくらはぎが前後するように体重移動を行います。
左のふくらはぎをほぐし終わったら、右のふくらはぎも同様の手順で行いましょう。
ふくらはぎについてもっと詳しく知りたいという方は、過去の記事もぜひご覧ください。
【関連記事:スポーツにも大切な「ふくらはぎ」の筋膜をリリースしよう】
前腕の筋膜リリース
※床でも構いませんが、机があると楽に行えます。
①床や机の上にフォームローラーを置きます。
②フォームローラーの上に左の前腕を乗せます。このとき、手のひらを上に向け、肘から手首の真ん中あたりを乗せると以降の手順が分かりやすくなります。
③左腕をローラーに乗せたまま両手をつなぎ、体重をかけながら左腕を前後します。左腕の下でフォームローラーが転がればOK。
④手首を左右に回転させて、左の前腕の側面をしっかりとほぐしていきます。
左腕が終われば、右腕も同様に行いましょう。
大胸筋の筋膜リリース
※安定した床の上で行いましょう。
①うつぶせの状態で床に寝そべります。
②上体を起こし、フォームローラーを左胸の下へ差し込みます。差し込む際は、背骨の向きと平行に差し込みましょう。
③左手を体の横にまっすぐ伸ばし、右肘をついて左胸をフォームローラーの上に乗せます。
④右肘を曲げたり伸ばしたりして、フォームローラーを体の中心から左右に転がしましょう。
左の大胸筋への筋膜リリースが終わったら、右の大胸筋にも同様に行いましょう。
足裏の筋膜リリース
※安定した床の上で行いましょう
①フォームローラーを床の上に置いてその後ろに立ち、左足をフォームローラーに乗せます。
②体重をかけながら左足を前後に動かします。左足の裏でフォームローラーが前後に転がる感じです。
左足の裏が終わったら、右足の裏も同様に行いましょう。
おわりに
今回は、筋肉痛が起きる原因と、それに筋膜がどう関わっているかについてご紹介しました。
筋膜リリースで筋力を低下しにくくして、筋肉痛のリスクを少しでも減らし、痛みのない生活を送れるようにしましょう。