肩甲骨ってどんな骨?
肩甲骨は、肩から背骨にかけて肋骨を覆うように広がっている骨です。
人間の肩にはさまざまな筋肉や骨があります。
その中で、肩甲骨は胴体と腕をつなぐ役割を持っており、腕の動きに合わせて動きます。
肩関節を動かせる範囲は、肩甲骨を動かせる範囲と同じになります。
このように肩甲骨は、胴体と腕をつなぎ、肩関節の可動域を決めるという2つの役割を持っています。
肩こりと肩甲骨の関係は?
肩こりと肩甲骨は密接に関係しています。
肩甲骨の周りで起こるトラブルが原因となって、肩こりにつながることがあります。
「こり」って何?
老若男女を問わず、悩んでいる人が多い肩こりですが、そもそも「こり」とは何なのでしょうか。
こりとは、筋肉がこわばる(=緊張する)ことで発生する痛みや違和感、不快感のことだと言われています。
こわばった筋肉はぎゅっと絞ったスポンジのような状態になっており、血液やリンパ液が行きわたりにくく、疲れや痛み、違和感が溜まりやすくなると考えられています。
筋肉がこわばる原因はさまざまで、運動不足が原因のこともあれば、逆に激しく動き過ぎたときにこわばることもあります。
そのほかにも、生活習慣による自律神経の乱れ、何らかの病気などの原因でこわばることがあるため、原因の特定は難しいと言われています。
こりが肩や首の周りで起きるときに、肩こりや首こりと呼ばれます。
肩こりの症状は、軽いものでは違和感や不快感を覚える程度ですが、ひどくなると頭痛や吐き気、冷え性、疲れ目などにもつながっていきます。
肩甲骨に近い筋肉が疲れてこりにつながる?
肩甲骨に近い筋肉がこわばることで、肩こりを引き起こすのではないかと言われています。
例えば、肩甲骨に近い僧帽筋(そうぼうきん)や菱形筋(りょうけいきん)がこわばることで、肩から腕にかけて重だるくなったり、首の後ろあたりに圧迫感を覚えたり、肩が上がりにくくなったりといったトラブルにつながりやすくなります。
近年話題の筋膜リリースが肩甲骨のケアに?
近年、筋膜リリースが注目を浴び始めています。
実はこの筋膜リリース、肩甲骨のケアに活用できるのではないかとも言われています。
そこでここからは、筋膜リリースと肩甲骨の関係についてご紹介します。
筋膜って何?
筋膜リリースについてご紹介する前に、まずは筋膜とは何かについてご紹介します。
筋膜とは、全身の筋肉や内臓、神経、血管などを包んでいる膜のこと。
全身のすみずみに張りめぐらされて全身の組織を支えているため、筋膜は「第二の骨格」と言われています。
また、筋膜は体のさまざまな組織のあいだに挟まっています。
筋膜はみずみずしく伸縮性があるので、体を動かす際に組織同士がこすれたり、引っかかったりして傷つかないように保護しています。
筋膜の癒着がこりにつながる?
筋膜は、長時間同じ姿勢で過ごしたり、強い衝撃を受けたりすると、カサブタのように硬くなる性質を持っています。
この性質を筋膜の「癒着」と言い、さまざまな不調を引き起こす原因のひとつになると考えられています。
癒着した筋膜は、周りの筋肉を圧迫して疲れさせ、体をこりやすい状態に近付けることがあり、肩甲骨周辺の筋膜が癒着したときに、肩こりを起こす可能性があります。
筋膜リリースとは?
筋膜リリースは、癒着して硬くなった筋膜を軟らかくほぐす(リリースする)ことで、筋膜由来のトラブルへアプローチする方法の総称です。
ストレッチやマッサージなどに組み込まれていたり、専用の機器を使った施術を受けたりと、多様な方法で行うことができます。
そして、肩甲骨の周りに筋膜リリースを行うことで、筋膜の癒着による肩こりにアプローチできます。
筋膜リリースを行うときのポイント
筋膜リリースのコツは「あまり強い力を込めて行わないこと」です。
マッサージ店などに行くときにありがちなのが、力を込めて押してもらうことで「効いている」と感じて、ついつい強い力でマッサージを受けようとすることです。
あるいは、ストレッチの際に無理に引き延ばしすぎるというケースもたまに見られます。
必要以上に強い力で筋膜リリースを行うと、筋膜の奥にある筋肉や腱が傷ついてしまうおそれもあります。
「痛気持ちいい」くらいの感覚で行いましょう。
肩周りの筋膜リリースをしよう
肩から首にかけての筋膜を、ストレッチで引き伸ばしてほぐしましょう。
肩甲骨周りの筋肉がほぐれることで、肩こりや肩関節の可動域にアプローチします。
用意するもの
・椅子
①椅子などの安全な場所に座り、右手で左肩を押さえます。
②左腕をまっすぐにピンと伸ばした状態で左斜め下に向けます。そのまま左腕を体の後ろに旋回させます。
③顔は正面を向いたまま、頭を右にゆっくりと傾けていきます。左耳の付け根から鎖骨の辺りが伸びるのを感じたら、そのまま20秒キープしましょう。
④首を倒した状態のまま、頭を回転させて上を向きます(右耳が前に出て正面から見えるように頭を回転させます)。引っかかりを覚えたところでストップし、そのまま20秒ほどキープします。
⑤今度は、頭を下方向に回転させます。「右肩に鼻を近づける」イメージで行うと分かりやすいです。こちらも引っかかりを覚えたところでストップし、20秒ほどキープしましょう。
※片方が終わったら、反対側も同様に行いましょう。
施術院に行ってみよう
筋膜リリースは自分でもできます。
しかし、あまりにも肩こりがひどいときや、自分の体質に合った正しい方法を知りたいときは、接骨院や整骨院、整体院、パーソナルトレーニングジム、サロンなどで、専門の知識や技術を持った人の施術を受けることをおすすめします。
施術院では、筋膜リリースやマッサージなどの施術を受けられるほかにも、ゆがんだ姿勢を正しい状態に矯正してもらえたり、生活習慣や普段過ごす姿勢などで注意するべきポイントを教わることもできます。
【関連記事:実はこんなところでも?筋膜リリースを受けることができるのは】
おわりに
今回は、肩こりと肩甲骨との関係についてご紹介しました。
肩甲骨は、肩を構成する大切な骨のひとつです。
肩甲骨で起きるトラブルの中には、肩こりにつながるものもあり、肩甲骨のケアが重要です。
しっかりと肩甲骨をケアして、肩こりに悩まされることのないように対策しましょう。