筋膜リリースとは
世間で話題になっている筋膜リリースですが、実際にどんなものなのかを知っている人は少ないように感じます。
まずは、筋膜リリースとは何かについてご紹介します。
筋膜について
筋膜リリースは体のさまざまな組織を覆っている筋膜をほぐすことによって、体の不調にアプローチしたり、コンディションを整えたりします。
筋膜とは、筋肉や内臓などを包む膜のことで、個別の筋肉などを覆っているほか、全身にくまなく張り巡らされています。
筋膜は、普段はみずみずしく、ある程度自由に伸縮するという性質を持っており、隣り合う筋肉同士が引っかからないように滑って体のスムーズな動きを助けたり、筋肉を保護したりしています。
しかし、長時間同じ姿勢で過ごしたり、ケガなどで体の一カ所に強い衝撃を受けたりすると、筋膜からだんだんとみずみずしさが失われていき、硬くなっていきます。
筋膜を軟らかくほぐすのが筋膜リリース
筋膜が硬くなるとスポーツ時のパフォーマンスが落ちたり、冷え性やむくみ、肩こり、腰痛につながったりします。
それらを防ぐため、筋膜が硬くならないようにほぐすのが筋膜リリースです。
手で揉みほぐしたり、専用の機械を使ったりと、筋膜リリースにはさまざまな方法があります。
筋膜リリースに便利なアイテム「フォームローラー」とは
筋膜が硬くならないように、しっかりとほぐしていく上で便利なアイテムがあります。
それが筋膜リリース用に作られたフォームローラーです。
フォームローラーとは
フォームローラーは適度な硬さと弾力がある、円柱形の棒です。
筋膜リリースを行いたい場所にフォームローラーを押し当てて転がすことで、効率的に筋膜を揉みほぐすことができます。
手で揉むよりも簡単に広範囲をほぐせるので、誰でも手軽に筋膜リリースを体験できます。
フォームローラーで筋膜リリースができるしくみ
皆さん、右手で左手の甲を前後にこすってみてください。
左手の甲の皮膚が、こすった方向についてくるかと思います。
フォームローラーによる筋膜リリースのしくみは、これとだいたい同じです。
フォームローラーが「右手」、ほぐされていく筋膜が「左手の甲の皮膚」に当たります。
ただし、筋膜は皮膚とは違い、皮膚や皮下脂肪のさらに奥にあります。
その位置までほぐす力を届けるために、フォームローラーを押し当てるのです。
※強い力でグリグリとフォームローラーを転がす人がいますが、押し当てる力が強いからといって、その分効果が高まるということはありません。フォームローラーに圧力をかけるのは、あくまでも「筋膜に力を届ける」ためです。必要以上に強い力で行わないようにしましょう。
ローラーを使った筋膜リリースの方法
ここからは、ローラーを使った筋膜リリースの方法について、部位ごとにご紹介します。
足の裏の筋膜をほぐして扁平足予防
足の裏には「足底筋膜」という筋膜があります。
足底筋膜は足の裏のアーチを支える筋膜で、足底筋膜が硬くなると偏平足や外反母趾といった足裏のトラブルが起きたり、ふくらはぎの筋肉がつりやすくなるなどの不調が現れたりします。
手順
①椅子に座った状態で、フォームローラーを左足で踏んで、少しずつ体重をかけながら前後にゆっくりとを転がします。
立って筋膜リリースを行うと、バランスを崩して転ぶ危険が高くなるのでやめましょう。
②左足が終わったら、右足も同様にほぐしていきましょう。
四十肩や五十肩の予防に!脇の下の筋膜をほぐす
腕が上がりにくくなる四十肩や五十肩は、近年では若い人にも起こりやすくなっています。
四十肩や五十肩の原因は、肩の筋力低下だと考えている人は多いですが、実はそれだけが原因ではないかもしれません。
肩の周辺、特に脇の下の筋膜が硬くなることで、四十肩や五十肩のように腕が上がりにくくなっているのではないかと言われています。
左手で右脇の下あたりの服をグッと掴んで、そのまま右手を上げてみてください。
上げている途中で、服が引っかかって腕が上がらなくなるはずです。
これに近いことが、四十肩や五十肩でも起きていると考えられます。
硬くなっている脇の下の筋膜が、肩の動きを妨げているなら、脇の下の筋膜をほぐしていけば、自然に腕が上がっていくようになります。
手順
①左脇の下にフォームローラーを置いて、その上に横になりましょう。
左肘をついて右足を折り曲げ、下半身を浮かせましょう。
右足、左脇、左肘の3カ所で体を支えている状態です。
②右足を曲げたり伸ばしたりして、脇の下でフォームローラーを転がしていきます。
痛気持ちいい程度の強さを目安に行いましょう。
③左脇の筋膜がリリースできたら右側も同様に行いましょう。
片側20秒を目安に、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。
腰痛を防ごう!背中と腰の筋膜リリース
背中や腰の筋膜は腰痛と密接に関係していると言われています。
背中の筋膜が硬くなると、背中の筋力が低下して姿勢が悪くなり、腰に大きな負荷が掛かりやすくなるからだと言われています。
背中の筋膜をリリースして、腰痛につながってしまう前に対策をとりましょう。
手順
①フォームローラーを床に置き、その上に仰向けになって寝転がりましょう。
②膝を折り曲げ、上体を浮かせます(筋トレの「腹筋」をするときのようなイメージ)。
③両足とローラーを支えに腰を浮かせます。
④膝を曲げ伸ばしすることで、フォームローラーの上で背中をゆっくりと動かします。
20秒を目安に行っていきましょう。
フォームローラーの選び方
人によってどのフォームローラーがベストなのかは異なります。
ここからは、自分に合ったフォームローラーの選び方をご紹介します。
硬さ
フォームローラーの硬さは、筋膜リリースをする圧力の強さに影響を与えます。
硬いフォームローラーはより強くより深いところまでアプローチし、軟らかいものは優しくアプローチします。
フォームローラーを初めて使う場合は、あまり硬すぎるものを選ぶのではなく、少し軟らかめだと感じるものから始めてみましょう。
お店などで実際に商品を触ることができるなら、持ってみて手が少し沈み込むようなものを選んでみることをおすすめします。
大きさ
どの部位に対して重点的に筋膜リリースを行うかによって、適切なフォームローラーの大きさは変わります。
背中や腰、太ももの裏など広範囲の筋膜リリースを行う場合は大きめのものを、肩や首、足の裏といった場所にピンポイントにアプローチするなら、小さめのものや手で持って使用するスティックタイプのフォームローラーを選ぶと良いでしょう。
自作するのもアリ
フォームローラーは自作することも可能です。
用意するものは大きめの「タオル」と「雑誌」そして「ヘアゴムやビニールひも」です。
タオルを広げ、その上に雑誌を置きます。
雑誌を芯にしてくるくると巻いていき、ロールケーキのようになればOKです。
ヘアゴムやビニールひもなどでくくって形を整えましょう。
ひもの縛り方やタオルの巻き方で、好みの硬さに調節できます。
おわりに
今回はローラーを使った筋膜リリースの方法をご紹介しました。
有名人も使っているフォームローラー。
正しい使い方を守って効果的な筋膜リリースを行いましょう。