筋膜について

やりすぎ注意!筋膜リリースは「どのくらい」やればいいの?

テレビで紹介されて大きな話題を生んだ「筋膜リリース」。
筋膜リリースの方法を紹介する書籍やサイトは年々増えています。
しかし、筋膜リリースもやみくもにすれば良いというわけではなく、やり過ぎると逆効果になることもあります。
今回は、筋膜リリースをやり過ぎるとどうなるのかについて、詳しくご紹介します。

やりすぎ注意!筋膜リリースは「どのくらい」やればいいの?

筋膜リリースとは

まずは筋膜リリースについてお話しします。
人間の体には、筋肉を包んでいる筋膜という組織があります。

筋膜は本来、みずみずしく、ある程度自由に伸び縮みできます。
しかし、外から強い衝撃を加えられたり、長時間同じ姿勢で過ごしたりすると、だんだんとみずみずしさを失ってカサブタのように硬くなっていきます。
これが筋膜の癒着という現象です。

筋膜が癒着すると、その周囲の筋肉や血管、神経などを圧迫して痛みを生んだり、こりのもとになったり、体の動きを阻害したりといったトラブルにつながっていきます。

そうした「筋膜の癒着が原因で起きているトラブル」に対処するために、筋膜の癒着を取り除いていくのが筋膜リリースです。

筋膜リリースによって、

・周りの血管やリンパ管への圧迫を無くして、血液やリンパ液の流れをスムーズにする。
・硬くなった筋膜が妨げていた、筋肉の動きや関節の可動域に対してアプローチする。
・トレーニング後に疲労が溜まらないようにする。

などが期待できます。

筋膜リリースにはどんなものがある?

筋膜リリースには自分で行う「セルフ筋膜リリース」と、治療院や施術院で施術を受ける方法があります。
治療院や施術院で施術を受ける方法については今回とは別のお話なので、内容にご興味がある方は、下の記事で詳しくご紹介していますので、そちらをぜひご覧ください。

【関連記事:「治療院・施術院で受けられる筋膜リリース」ってどんなことをするの?】

※本記事では以後「筋膜リリース」と呼ぶ場合、「セルフ筋膜リリース」のこととしてお伝えしていきます。

筋膜リリースでは、癒着した場所をローラーで揉みほぐしたり、ストレッチで伸ばしたりする方法が主流です。

ローラーを使った方法は、表面にローラーを当てて転がすだけという手軽さと便利さから人気があります。
トレーニングの前後に、パフォーマンスの向上を目的として行う人も多く、スポーツの世界では特に人気が高いです。
筋膜リリース用のローラーは、安いものだと千円台、高いものでも1万円前後で購入できるほか、雑誌を乗せたタオルを丸めて自作することもできます。

ストレッチに筋膜リリースを取り入れる方法では、こっている場所を重点的に伸ばすことで、癒着した筋膜を引きはがしていきます。
一部で筋膜リリースのことを「筋膜はがし」と呼ばれているのは、こうしたことが理由かもしれません。
こちらは、道具いらずで行えることがメリットです。

このように誰でも手軽にできるため、筋膜リリースは幅広い層に高い人気があります。

しかし、筋膜リリースを取り入れるときに気を付けるポイントが、大きく分けて3つあります。
1つ目は「手順・方法」、2つ目は「回数・頻度」、3つ目は「強さ」です。
それぞれ個別に見ていきましょう。

筋膜リリースは正しい方法でないとダメ

筋膜リリースは、自分の体格や体質に合った正しい方法で行わないと、かえってケガや不調につながることがあります。
たまに、料理のレシピを勘でアレンジして失敗する人を見かけますが、それと似たようなものです。

まずは、テレビやWEBサイトなどで紹介された方法を「そのまま」やってみましょう。
その上で、自分に合っていないと感じたときに、自分に合った調整をしていくと良いでしょう。

筋膜リリースは毎日やるべき?

筋膜リリースは、どのくらいの頻度で行えば良いのでしょうか。
体調によっても異なるので断言はできませんが、習慣化できるなら毎日行っても問題ないでしょう。

逆に、「毎日やらなくちゃ…」とストレスになるのであれば、無理に毎日行う必要はありません。
大切なのは、「毎日休まず行うこと」ではなく、「長期間継続してやり続けること」です。
無理なく続けられる習慣をつくるところから始めましょう。

例えば、毎日全身に筋膜リリースを行うのではなく、「今日は腕、今日は背中、今日はふくらはぎ…」と、部位ごとに行う日を分けてみるなど、楽しみながら筋膜リリースを行うと良いでしょう。

筋膜リリースを控えておいた方が良い場合も

人によっては、筋膜リリースを控えておいた方が良い場合もあります。

それは、「ケガをしているとき」と「骨に異常があるとき」です。
それぞれ見ていきましょう。
ケガをしている場合、その場所では炎症が起きていたり、内出血が起きていたりします。
筋膜リリースをすると血液の流れがスムーズになるため、かえってケガを悪化させてしまう可能性があります。

また、ケガの場合、骨に異常がある場合の両方で、筋膜リリースでかけられた力がさらなるトラブルにつながりかねないので、これらの状態では筋膜リリースを控えておいた方が良いでしょう。

「ケガや骨の異常のようなトラブルが起きている場所とは別のところにやるのなら良いでしょ?」と思っている人もいるかもしれませんが、この場合にも注意が必要です。
なぜなら、筋膜リリースをする際には、ローラーにしてもストレッチにしてもさまざまな体勢をとるため、トラブルが起きている部位にも負荷がかかり、体調が悪くなる可能性があるからです。

筋膜リリースやマッサージの「痛いほど良い」は嘘?

よく、マッサージなどで「痛いのは効いている証拠」という人がいますが、あまり当てにしない方がよさそうです。
揉みほぐすことで痛くなる場合、その多くは力を入れて揉みすぎたことによる痛みであり、マッサージが効いているわけではないと考えられます。

実は、筋膜リリースにも同じことが言えます。
ローラーなどを使って筋膜リリースを行う際に、痛みを感じるほどの強い力で転がす人がいますが、あまりに強い力で揉んでしまうと、逆に揉んだ場所で新しい癒着や炎症が起きることにもつながります。
強すぎれば逆効果になりますし、弱すぎても狙った効果を出しにくいでしょう。

では、どれくらいの力で筋膜リリースを行うのが良いのでしょうか。
体格や体質によってベストな力加減は異なりますが、一般的には「痛気持ちいい」程度の力でほぐすと良いと言われています。

ただし、痛みの感じ方にも個人差があるので、まずは弱い力での筋膜リリースからスタートして、狙った効果を実感するまで徐々に強めていき、一番良い力加減を見つけ出すと良いでしょう。

一度専門家のところで診てもらうのもあり

整骨院や接骨院、整体、カイロプラクティックなどの施術院の中には、施術を行ってくれるだけでなく、普段の生活の指導を行ってくれるところもあります。

そこで、施術院で施術を受ける際に、「普段のケアってどうすれば良いですか」と聞いてみると良いでしょう。
体のゆがみを矯正してもらいながら、専門家の視点で自分に合ったケアの方法を教えてもらうことができるのでおすすめです。

おわりに

筋膜リリースは話題性がある分、あまり詳しくない人でも「やってみよう」と思えるセルフケアです。
それ自体はとても良いことですが、正しい方法を知らずにやり過ぎてしまい、逆に不調に繋がってしまう恐れもあります。
正しい知識を身につけて、生き生きとした生活につながる筋膜リリースライフを送りましょう。

整骨院は、ねんざなどの
ケガをしたときに行くところだと思っていませんか?

スポーツのコンディショニング調整をしたり、正しい姿勢をつくったり、あなたオリジナルのインソールを作ってくれる整骨院もありますよ。

PAGEのTOPに戻る