「トリガーポイント」
あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、近年話題を呼んでいる「筋膜リリース」と密接な関係があり、覚えておいて損はない言葉です。
「痛み」を扱うことが非常に多いペインクリニックや接骨院、整体、カイロなどの業界ではとても重要な言葉で、トリガーポイントがどういうものか知っておくだけでも、身体に痛みが発生した時に適切な対処ができるようになります。
トリガーポイントとは
トリガーポイントとは、痛みやこり、不快感を発生させる引き金(トリガー)となる点(ポイント)のこと。
近年では、慢性的な腰痛や肩こりの原因のひとつとして注目を集めています。
現在も研究が続けられており、主に「筋肉の使い過ぎ」や「運動不足」が原因で発生し、「筋筋膜性疼痛症候群」などの症状につながっていくことが判明しています。
筋肉内や筋膜内で発生するケースが多く、筋肉が緊張して収縮したり、筋膜が分厚く重なっている場所はトリガーポイントが起こりやすいとされています。
また、トリガーポイントは「飛び上がるほどの痛み(ジャンプサイン)」を生じることがあったり、トリガーポイントの部位を押さえたり圧迫した時に、トリガーポイントとは全く別の部位に痛みや不快感が現れるという特徴もあります。(これを「関連痛」といいます。)
エコー(超音波)検査技術の進歩によって、筋肉や筋膜にあるトリガーポイントを確認できるようになったため、痛みや不快感の原因がトリガーポイントにある可能性が高いことが判明した結果、近年注目を集めています。
トリガーポイント由来の痛みは再発しやすい
関連痛が起きている場合、原因であるトリガーポイントが痛みやこりのある場所に存在しないため、それらを取り除こうとしてマッサージなどを受けたとしても根本的な痛みの問題が解決せず、しばらくすると症状が再発してしまいます。
また、トリガーポイントは痛みやこりを引き起こすため、筋肉や関節の動きが阻害され、身体の各部位が十分に動かなくなり、新たなトリガーポイントを引き起こす恐れがあります。
第二、第三のトリガーポイントを生み出さないコツは、少しでも体を動かすことと、トリガーポイントを正確に特定して早急に対応することです。
トリガーポイントってどうやって見つけるの?
トリガーポイントが正確に発見できれば、素早い対応も可能になります。
トリガーポイントを見つけるなら、整形外科やペインクリニックなどで診断を受けるのが一番確実な方法です。
上述したように、トリガーポイントと同じ部位に痛みが発生することもあれば、トリガーポイントとは全く別の部位で痛みが発生していることもあるため、自力でトリガーポイントを特定するのは難しく、専門的な知識と経験が必要です。
※ちなみに接骨院や整骨院、整体の施術者は、トリガーポイントに関する専門的な知識と豊富な経験をもとに原因を分析して施術を行いますが、「医師」ではないため診断を行うことはできません。
もし診断を受けるのであれば、整形外科やペインクリニックがある病院に行きましょう。
トリガーポイントと筋膜リリース
トリガーポイントと筋膜リリースには密接な関係があります。
上述した通り、痛みの原因となるトリガーポイントは筋肉や筋膜で起こることが多いため、筋膜の癒着を取り除いて痛みにアプローチする「筋膜リリース」は、トリガーポイントにも対応できる可能性が高いとされています。
筋膜リリースでは、施術者が素手で揉みほぐして行う「手技療法」や、後述する「エコーガイド下筋膜リリース」、ローラーでもみほぐしながら表面を吸引する「メディセル筋膜療法」など、さまざまな方法でトリガーポイントにアプローチします。
さらに、筋膜の癒着を正常な状態に戻すと、筋肉同士の滑走が良くなって動かしやすくなったり、関節の可動域が拡がりやすくなり、普段の生活で身体をしっかりと動かせるようになり、新たなトリガーポイントの発生を予防できると期待されています。
筋膜リリースに関しては以前の記事で詳しくご紹介していますので、そちらもご覧ください。
トリガーポイントの治療・施術法
整形外科・ペインクリニックなどでは、トリガーポイントに対してエコーで確認しながら生理用食塩水を注入する「エコーガイド下筋膜リリース」などの治療を行い、トリガーポイントを取り除いていきます。
症状や痛みの度合いに応じて、痛み止めの薬を処方することもあります。
接骨院・整骨院・整体・カイロプラクティックなどでは、注射や薬の処方などの「医療行為」はできないため、手技療法やカッピング、メディセル筋膜療法などでトリガーポイントにアプローチしていきます。
筋肉や骨、筋膜など個別の部位に特化して施術を行っている院もあり、トリガーポイントに関して専門的な知識や技術を習得している施術者も多いです。
また、院の種類を問わず、鍼灸師が所属しているところでは、トリガーポイントに対して鍼による施術を行うケースも多いです。
実は、鍼による施術でアプローチする場所(東洋医学でいう経絡)とトリガーポイントになりやすい箇所は一致しているものが多く、鍼を使った施術がトリガーポイントに対して効果的なのではないかと期待されています。
いかがでしたか。
今回は、さまざまな痛みの原因として最近取り上げられ始めた「トリガーポイント」についてご紹介しました。
トリガーポイントは、発見の難しさと悪化のしやすさから早めの対処が大切です。
身体のどこかに痛みがある時は、まずは整形外科やペインクリニックなどで診断を受け、症状に応じて接骨院や整体に行きましょう。