筋膜について

体のトラブルにもつながる「筋膜の癒着」とは?

「肩こりがつらい」「腰が痛い」「むくみでスタイルが崩れやすい」「歩くときにひざが痛くなる」
そんなトラブルの原因、実は筋膜の癒着にあるかもしれません。

筋膜とは?癒着とは?
今回の記事では、筋膜の癒着とはどういうものか、それに対処する方法にはどのようなものがあるのかなどをご紹介します。

体のトラブルにもつながる「筋膜の癒着」とは?

体のトラブルは筋膜の癒着から?

まずは、体のトラブルにつながる筋膜の癒着についてご紹介していきます。

筋膜とは何か

筋膜とは全身の筋肉や血管、神経などを包んでいる膜状の組織のことです。

全身をボディスーツのように包んで支えるものや、筋肉の一つひとつ、また筋線維の一本一本の周りを包んで保護するものなど、一口に筋膜と言ってもいくつかの種類があります。

その役割は大きく分けて3つです。

1つ目は組織を保護する役割。
筋膜がそれぞれの組織の周りを包むことで、体を動かす際に、隣り合っている組織がこすれて傷つくのを防ぎます。

2つ目は力を伝達する役割。
筋膜が組織同士の間をつなぐことで、ある組織で発生した力を別の組織に伝達し、力を十分に発揮できるよう働きかけます。

3つ目は体を支える役割。
筋膜は主に、エラスチンやコラーゲンなどのタンパク質と水分でできており、体を支える頑丈さと、一度伸びても元の状態に縮んでいく柔軟性を持っています。
この性質から、筋膜は骨格と同じように全身の組織を支える役割を持っており、「第二の骨格」という別名で呼ばれることもあります。

筋膜は癒着する

さて、そんな筋膜ですが、さまざまな原因で柔軟性を失って、硬くなることがあります。
それが筋膜の癒着という現象です。

いくつか例を見てみましょう。

長期間体を動かさずに過ごす

長期間、体を動かさずに過ごし続けると、体の一部に偏った圧力がかかります。
寝たきりの状態を想像すると分かりやすいかと思いますが、重力によって上から下に、背中やお尻への圧力がかかり続けます。

そこまで極端な状況でなくても、例えばデスクワークなどで椅子に座ったままの状態が長く続くと、腰やお尻には圧力がかかりやすくなります。

すると、それらの場所にある筋膜は、硬く癒着していきます。

悪い姿勢

悪い姿勢で過ごすことも筋膜の癒着につながる原因のひとつです。
姿勢が悪いと、肩や腰など、一部の筋膜に対して圧力が偏りやすくなっていき、筋膜が硬く癒着する可能性があります。

筋膜と姿勢の関係については、こちらの記事で詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください。

【関連記事:姿勢の悪さをととのえるための筋膜リリース】

体に強い負荷がかかる

ケガをしたり、急に激しく運動したりして体に強い負荷がかかるケースでも、筋膜は癒着することがあります。

癒着した筋膜が起こすトラブルとは

筋膜が癒着すると、どんなトラブルにつながるのでしょうか。
代表的なものをご紹介します。

肩こり

筋膜が癒着すると、その近くにある筋肉や血管、リンパ管、神経などを圧迫することがあり、体にさまざまな不調を引き起こします。
そのひとつが肩こりです。

肩や首の周辺の筋膜が癒着すると、肩の筋肉や神経を圧迫して、筋肉に緊張を引き起こす可能性があります。
また、付近の血管を圧迫して肩周辺の血行不良につながることも。

肩の筋肉が緊張したり、肩や首の血行が悪くなったりすると、肩の筋肉には血液が上手く行き渡らなくなって、筋肉に必要な栄養が届かなくなるほか、老廃物が上手く回収できなくなることがあります。

その結果、肩に痛みや疲れ、違和感や不快感など、肩こりと呼ばれる状態へとつながっていきます。

さらに、肩こりにつながっているのは肩の筋膜だけではありません。
体のどこかで筋膜が癒着したときに、その周りで生まれた痛みや不快感から体をかばって、姿勢が悪化する可能性があります。

姿勢の悪化も、肩こりにつながる原因のひとつです。
姿勢が悪化して頭が前に突き出ると、頭の重さを肩や首の筋肉で支えることになるため、常に筋肉が緊張するようになります。
筋肉が緊張して血液からの栄養を受け取りにくく、肩こりにつながりやすくなります。

腰痛

腰痛は姿勢の悪化や血行不良、筋肉の緊張など、肩こりに似た原因で起こることがあり、そこに筋膜の癒着も関わっているとされています。

背中や腰回りの筋膜が癒着して、周囲の血管や神経、筋肉などを圧迫した結果、筋膜の近くの血行が滞ったり、筋肉が緊張したりすることがあります。

すると、腰を支える筋肉が疲れやすくなるほか、痛みや不快感から体をかばい姿勢が悪くなっていきます。

腰の筋肉への負担はさらに大きくなり、それが限界に達したとき、腰痛などの症状として現れることがあります。

むくみ

筋膜の癒着はむくみにも関係しています。

体のむくみは、体内の水分や老廃物が必要以上に溜まることで引き起こされます。
そして、水分や老廃物を回収する役割があるのがリンパ液。

筋膜が癒着してリンパ管を圧迫すると、リンパ液が上手く循環しなくなるため、水分や老廃物がスムーズに排出されなくなり、むくみにつながります。

ひざの痛み

下半身の筋膜が癒着したときに、下半身の筋力が低下し、ひざへの負担が増えることがあります。
それが慢性化した場合、ひざが痛み始めることもあります。

また、ひざの関節近くにある筋膜が癒着して関節の動きを妨げ、無理にひざを動かそうとして関節への負担が大きくなり、痛みにつながるケースもあります。

ひざの痛みに関しては、こちらの記事でより詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

【関連記事:膝が痛い…その理由と対処法をご紹介】

目の疲れ

肩こりと目の疲れは密接な関係にあります。
目の疲れは、言い換えると「目の周りにある筋肉の疲れ」です。

肩や首の筋肉と顔にあるさまざまな筋肉はつながっているので、肩の筋肉が緊張しているときには顔の筋肉にも影響があることが多く、目の周りの筋肉にも負担がかかって疲れにつながることがあります。

また、目が疲れていると、パソコンやスマホの画面などがかすんだりぼやけたりして見づらくなり、じっと見ようとして前かがみになることがあります。
そうした姿勢は肩の筋肉や筋膜に負担が掛かりやすく、肩こりへとつながりやすいです。

このように、肩こりと目の疲れは、お互いに症状を引き起こす原因になる可能性があります。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてどうぞ。

【関連記事:肩こりと目の疲れは深い関係がある?】

癒着した筋膜をほぐす筋膜リリース

近年、癒着している筋膜をほぐすことを目的としたストレッチやマッサージなどが登場しています。
これがテレビ番組などでも話題になっている筋膜リリースです。
筋膜リリースにはさまざまな種類の方法があります。

ストレッチ

メディアで取り上げられることが多いのは、ストレッチによる筋膜リリースでしょう。
ストレッチの際、筋肉だけでなく筋膜を伸ばすように意識しながら行うことで、普通のストレッチよりもしっかりと筋膜をほぐしていきます。

【関連記事:ストレッチで「3つの筋膜」を伸ばして理想のボディを目指そう!】

フォームローラー

フォームローラーとは、筋膜リリース用に作られた円柱状のローラーです。
表面に凹凸があり、表面を体に沿わせて体重をかけながら転がすことで、誰でも簡単に筋膜リリースができます。
また、背中のように手が届きにくいところでも筋膜リリースできる優れものです。

【関連記事:ローラーを使った「筋膜リリース」!】

手技療法

整骨院や接骨院、整体院などで行われる方法の中で、マッサージなど素手でもみほぐすものを手技療法と呼びます。
筋膜リリースを行っている施設では、手技療法や次にご紹介するメディセルなど、さまざまな施術の中から自分に合った筋膜リリースを受けられます。

【関連記事:「治療院・施術院で受けられる筋膜リリース」ってどんなことをするの?】

メディセル

メディセルとは、吸引の力を使った筋膜リリース専用の機械です。
本体から伸びた吸引用ホースの先に、小顔ローラーのようなローラーが取り付けられています。

ローラー側を体に沿わせて転がすことで、ポンプの力で吸引しながらもみほぐしていきます。

整骨院や接骨院、整体院のほか、エステサロンやスポーツジムなどにも導入されています。

【関連記事:筋膜リリースのための機械「メディセル」っていったい何?】

エコーガイド下筋膜リリース

エコーガイド下筋膜リリースとは、エコー(超音波)の画像を確認しながら、狙った場所に直接生理用食塩水や薬液を注入して、癒着した筋膜を浮かせてはがす方法です。

整形外科やペインクリニックなどの医療機関で受けられる治療のひとつです。

【関連記事:エコーガイド下筋膜リリースって何?】

おわりに

今回は、筋膜とは、癒着とは何かについてご紹介しました。

筋膜が癒着するとどんなトラブルを引き起こすのか、そして筋膜リリースとはどういうことをするのかを少しでも知って、今後のライフスタイルに役立ててもらえれば幸いです。

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