フォームローラーは筋膜リリースのためのアイテム!
フォームローラーとは、筋膜リリースを効率よく行うためのアイテムで、表面に凹凸の付いた円柱状のローラーです。
体の表面に密着させながら転がすことによって、ローラーを当てた場所にある筋膜をほぐします。
スポーツや美容などの業界では、体づくりの一環としてフォームローラーを使った筋膜リリースが重宝されており、アスリートやモデルの中にもたくさんの愛用者がいます。
筋膜リリースって何?
組織の表面を包み込んでいる筋膜を、軟らかくほぐしていくのが筋膜リリースです。
筋膜は、全身をボディスーツのように包んだり、筋肉や内臓一つひとつを包んだりしています。
そうして筋膜は、運動するときに筋肉同士がこすれて傷つかないように保護したり、全身の組織をあるべき場所にまとめて保持したりしています。
イメージとしては、間仕切りの付いたお弁当箱が近いです。
お弁当箱の中にご飯やおかずを入れるとき、間仕切りがあればおかず同士が混ざったり、持ち運んだときに形が崩れたりせずにすみますよね。
人間の体で言うと、お弁当箱の外側の部分が皮膚や皮下脂肪、中の間仕切りが筋膜、ご飯やおかずが筋肉や内臓にあたります。
さまざまな機能を持つ筋膜ですが、長時間同じ姿勢で過ごしたり、強い衝撃を受けたりしたときに、カサブタのように硬くなる性質があります。
これは筋膜の癒着と言い、肩こりや腰痛、運動時のパフォーマンス低下など、さまざまなトラブルの原因になると考えられています。
筋膜リリースは、癒着して硬くなった筋膜を元の軟らかい状態に戻すことや、筋膜が軟らかい状態を保ち続けることを目的として、全身のあらゆる筋膜にアプローチしていきます。
フォームローラーはココで選べ!
効率良く筋膜リリースをするためには、自分にとって最適なフォームローラーを選ぶのが大切です。
各メーカーからさまざまな機能や形状のフォームローラーが販売されていますが、どのようなことに気を付けて購入すると良いのでしょうか。
ここからは、フォームローラーの選び方についてご紹介します。
大きさ・長さ
フォームローラーはさまざまな大きさ・長さのものが販売されています。
フォームローラーの大きさは、一度にどのくらいの範囲をほぐすのかに関係しており、自身の体格や部位に適した大きさのフォームローラーを選ばないと、効率よく筋膜リリースできません。
大きく分けて3種類のものが存在するので、目的に合ったものを選びましょう。
スタンダードタイプ
メーカーによって細かな違いはあるものの、フォームローラーはおおむね直径15cm、棒の長さ30cmほどのものが主流なため、これに近いサイズのものをスタンダードタイプ(スタンダードサイズ)と呼ぶことが多いです。
体のほとんどの部位に筋膜リリースができ、フォームローラーのなかでは最も扱いやすいタイプのものなので、初めてフォームローラーを購入する人におすすめです。
また、持ち運ぶ際にかさばらないのも良いポイント。
ちょっとした旅行に持ち運ぶ人も多く見受けられます。
ただし、背中全体を筋膜リリースしようと考えている人は、次にご紹介するロングタイプの方がいいかもしれません。
ロングタイプ
ロングタイプは、棒の長さが60cm~1m近くあるタイプのフォームローラーです。
頭からお尻までを乗せて背中全体をほぐすことが可能なほか、筋膜リリースだけでなく、ストレッチのためのポールとして使うこともできます。
背中全体をストレッチしながら、筋膜リリースもしたい人向けのフォームローラーです。
欠点としては、その大きさゆえに持ち運びにくく、収納場所に困ることです(立てかけておく場所があるなら、そこまで気にはならないかもしれません)
また、肩や首などの狭い場所をほぐそうとすると、ローラーが大きすぎて上手く体に沿わすことができず、しっかりとほぐせない可能性があります。
ハンディタイプ
スタンダードタイプやロングタイプは、床に置いたり壁に立てかけたりして、それを自分の体で挟んで力を加えていく方法で筋膜をほぐしますが、ハンディタイプはその名の通り、手でローラーを持って体の上を転がし、ほぐしていくタイプのローラーです。
手に持って行う関係で、ももの内側など、寝転がって筋膜リリースを行うのが難しい部位もしっかりとほぐせるほか、圧力をかけるのも、体重移動で行うスタンダードタイプやロングタイプより簡単にできるのが特徴です。
ただし、背中などの手が届きにくい場所には、筋膜リリースしようとしても力を上手く加えられないので、その場合は別のタイプのローラーを使用した方が良いでしょう。
足や腕などの筋膜リリースに向いていることから、テニスなどのスポーツを行う前後のケアとして活用する人が多いです。
溝の深さ
フォームローラーは筋膜リリースのため、表面に凹凸がありますが、ものによって溝の深さが異なります。
溝の深さは、ローラーを当てた場所にかかる圧力の大きさと関係があります。
溝が深ければ深いほど、体にかかる圧力が大きくなり、奥の方にある筋膜をほぐせるようになります。
スポーツでひんぱんに体を動かす人は、溝が深く、奥の筋膜までしっかりとほぐせるものを、初めてローラーを購入するのであれば、圧力が少ない浅めの溝のものを選ぶことをおすすめします。
後述しますが、圧力は強ければ良いというものではなく、適度な力を正しく筋膜に送り届けることが重要です。
材質
フォームローラーの材質は、耐久性とクッション性に関わっています。
フォームローラーは体重をかけながら転がすという関係上、ある程度の耐久性がないとすぐに壊れてしまい、多少のクッション性がないとローラーを転がしてもただ痛いだけになってしまいます。
市販されているフォームローラーのほとんどは樹脂製で、耐久性が高く、適度に軟らかくできています。
そのため、体重をかけても簡単には壊れず、筋膜リリースを行う際にもちょうどいい圧力がかかるようになります。
溝の深さと同様、初めてフォームローラーを購入するのであれば、かかる圧力の少ない柔らかめのものを選ぶと良いでしょう。
振動機能
スタンダードタイプやロングタイプのフォームローラーには、電気によって自動で振動するものがあります。
振動機能を持ったフォームローラーは、筋膜リリースをしたい場所を転がさずに沿わせておくだけで筋膜リリースが可能な優れものです。
ただし振動する機能が加わった分、お値段は多少高くなり、サイズも一回り大きくなるので、持ち運びにはあまり向いていません。
自宅でくつろぎながらじっくり筋膜リリースしたい人におすすめです。
値段
フォームローラーは、通販サイトや量販店などで販売されており、そのお値段も千円台のものから数万円のものまでさまざまです。
ご自身の予算と相談しつつ、必要な機能を持ったフォームローラーを探しましょう。
フォームローラーの使い方
ハンディタイプ以外のフォームローラーは、自分の体重をかけることで体の表面を前後させて筋膜をほぐすアイテムです。
体重のかけ方やほぐし方は部位によっても異なりますが、大切なのは「やり過ぎないこと」です。
筋膜リリースで圧力を加えるのは、あくまでもほぐしたい筋膜に力を送り届けることが目的です。
しかし、「強い圧力をかけること=効果がある」と考えて、必要以上に強い圧力がかかる方法で筋膜リリースを行う人もいます。
その結果、逆に体を痛めたり、フォームローラーが故障しやすくなったりする原因になります。
だからこそ、ちょうど良い圧力で筋膜リリースを行うことが大切です。
目安としては、「痛気持ちいい」くらいの力で行うと良いでしょう。
フォームローラーを使った筋膜リリースで期待できること
フォームローラーで筋膜リリースをすると、次のようなことが期待できます。
筋肉の機能低下にアプローチする
筋膜が硬くなると、近くにある血管やリンパ管を圧迫して血液の流れを滞らせる可能性があります。
また、癒着した筋膜の近くにある筋肉が圧迫されることで緊張し、血液が上手く行きわたらなくなるとも言われています。
血液は体の組織に栄養を送り届ける役割があるので、筋膜が硬くなることによって、筋肉に十分な栄養が届かなくなり、筋肉が十分なパフォーマンスを発揮できない場合があります。
そこで登場するのが筋膜リリースです。
筋膜リリースで筋膜をほぐすことによって、筋肉が本来持っているパフォーマンスを取り戻ことにつながります。
関節可動域を広げる
硬くなった筋膜は、関節の動きを妨げることがあります。
例えば、脇の下の筋膜が硬くなった場合にはどうなるのでしょうか。
着ている服の左脇の部分を右手で掴んで、しっかりと固定した状態で左手を上に持ち上げてみてください。
途中で服が引っかかると思います。
このとき、右手で掴まれた服の部分こそが硬くなった筋膜です。
掴んでいた右手を放せば、左手はスムーズに上に持ち上がります。
このように、硬くなった筋膜は関節の可動域を狭めることがあります。
筋膜リリースで筋膜をほぐすことで、関節可動域を広げることにつながります。
理想のスタイルをつくる
筋膜リリースによって筋膜をほぐすと、血液やリンパ液の流れがスムーズになることから、スタイルをキープするための筋肉(例:広背筋、僧帽筋など)に、栄養が送り届けられて力を発揮できるようになるほか、むくみの原因となる余分な水分や老廃物をリンパ液が上手く回収できるようになると考えられています。
結果、筋肉がしっかりと体を引き締め、余計なむくみのない理想のスタイルにつながっていきます。
おわりに
数年前から話題になっている筋膜リリース。
手軽に、効率良く筋膜リリースが行えるように作られたフォームローラーは、非常に便利なアイテムです。
ぜひ、自分に合ったフォームローラーを手に入れて、理想の体づくりをしましょう。