筋膜リリースってどういうもの?
筋膜リリースとは、筋肉を包む筋膜を軟らかくほぐして、さまざまなトラブルにアプローチする方法のことです。
筋膜は、長時間同じ姿勢で過ごしたり、強い衝撃を受けたりすると「癒着」して硬くなります。
腰の筋膜が癒着したときに腰痛を引き起こすことがあると言われています。
筋膜リリースでは、硬くなった腰の筋膜を素手やローラーで肌の上から揉んだり、ストレッチなどで引き伸ばしたり、専用の機器で引っ張ったりしながら軟らかくゆるめていきます。
筋膜リリースのコツ
筋膜リリースをするときは、「押し込む」のではなく「伸ばしてほぐす」イメージでゆっくりと行いましょう。
無理に強い力で行ったり、急な動きを加えたりすると、筋肉がダメージを受けて炎症を起こしたりパフォーマンスが悪くなったりすることもあります。
さて、ここからは筋膜リリースの手順をいくつかご紹介します。
左右の腰が痛いときはコレ!弓なりのポーズ
近くに机やバーなど、手を置くことができるものを用意しましょう。
①左手を真上にピンと伸ばし、左足を右足の前に出して交差させます。
このとき、右手を机やバーの上に置いて体を支えられるように準備しましょう。
②左手を机の方に倒すようなイメージで、ゆっくりと傾けていきます。
左手から左足までが「弓のように伸びていく」イメージで体全体を伸ばしましょう。
③体がそれ以上傾かなくなったところで20秒ほどキープします。
慣れてきたら30秒、40秒と増やしていくと良いでしょう。
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片方を伸ばし終わったら、反対側も同様に伸ばしていきましょう。
背中側が痛いときにおすすめ!机にお辞儀のポーズ
①机の前に立ち、両手を机の上に置きます。
このとき、体を曲げずにまっすぐ伸ばした状態で立ってください。
机が低い場合は、体を前に傾けても構いませんので、体が曲がらないようにしましょう。
②お辞儀の要領で上半身を前に伸ばしましょう。
背中からふくらはぎまで、体の後ろ側が引き伸ばされていくので、それ以上伸びなくなったところで20秒キープします。
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①のときに体を前に傾けた人は、下半身がまっすぐになるようにお尻を引きながらお辞儀をするとうまくいきます。
こちらも、慣れてきたら時間を増やしていきましょう。
ローラーを使った筋膜リリース
筋膜リリースの際に、専用のローラーがあるとより効果的に行うことができます。
市販されているものを購入しても良いですし、自作する方法もあるので、好きな方法を選びましょう。
自作ローラーの作り方
必要なもの
・大きめのタオル(バスタオルくらいのもの)
・雑誌
・ヘアゴム、ビニールひも
①広げたタオルの上に雑誌を置き、雑誌を芯にしてくるくると巻いていきます。
②自分の好みの硬さに巻き終わったら、ヘアゴムやビニールひもなどで留めます。
自宅にあるもので簡単にできるのでおすすめです。
ローラーを使うことで、次のような筋膜リリースが可能になります。
前傾姿勢がつらい?背中下部の筋膜リリース
前かがみの体勢をとったときに腰が痛くなる人向けの筋膜リリースです。
①壁に背を付けて立ちます。
このとき、肩とお尻のあいだに隙間ができるので、そこにローラーを差し込みます。
②ローラーを壁に押し付けながら上下に屈伸します。
背中の上をローラーが転がるイメージで行いましょう。
強い刺激が欲しい人は、ローラーの代わりにテニスボールなどを挟んでもOK。
③次に、床の上にローラーを置いて、その上に腰を乗せるように仰向けに寝そべります。
このときには両手を上に伸ばしておきましょう。
④腰を左右に揺らして、腰の筋膜全体をほぐしていきましょう。
勢いよく動かす必要はありません。
ゆっくりと、10秒程度行うと良いでしょう。
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座っている時間が長い人向け!腰の前側の筋膜リリース
ドライバーやデスクワークの人、学生など、座っている時間が長い人向けの筋膜リリースです。
①床にローラーを置き、その上に股関節を乗せるようにうつ伏せになります。
②両手で上体を持ち上げて、ローラーに体重がかかるようにします。
③上体はそのまま、左足のひざを外側に曲げ、右足の付け根の筋膜をほぐしていきます。
10秒ほど伸ばしましょう。
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④右ひじを曲げ、股関節の外側にある筋膜をほぐしていきます。
「腰骨の上」をほぐす感覚で、10秒を目安に行うと良いでしょう。
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片方ができたら逆側も同じように行いましょう。
それでもよくならないときは専門家のもとへ
筋膜リリースは成果に個人差があります。
そのため、今回お伝えした方法で求める成果が得られない人もいます。
その場合は、専門家のもとに行くことをおすすめします。
腰痛の専門家といえば、整形外科やペインクリニックのような医療機関や、整骨院、接骨院といった施術院などが思い浮かぶのではないでしょうか。
それぞれの特徴をご紹介します。
整形外科・ペインクリニック
ご紹介する中では唯一の医療機関であり、CTやMRIなどを用いた診断を行うことができるほか、湿布薬や内服薬などの処方を行うことができる場所でもあります。
腰痛の場合、その原因のほとんどが特定しづらいことをはじめにお伝えしましたが、ヘルニアなど一部の症状は、医療機関での診断によって特定できるケースもあります。
そのため、専門家を探す場合は、まず整形外科やペインクリニックといった医療機関を選ぶことをおすすめします。
接骨院・整骨院
いきなり病院に行くことに抵抗がある方には、接骨院や整骨院などに行くことをおすすめします。
医療機関ではないですが、接骨院や整骨院の施術者は「柔道整復師」という、専門的な知識と経験を持つ国家資格保持者なので、腰痛や肩こりなどの症状に対処するプロフェッショナルです。
接骨院や整骨院では手技療法や電気、鍼、メディセル筋膜療法などで腰痛にアプローチしていきます。
腰痛退治の専門家?接骨院や整骨院で受けられる「メディセル筋膜療法」とは
「メディセル筋膜療法」……聞き覚えのない言葉かもしれません。
株式会社MJカンパニーが開発・製造・販売している、筋膜リリース専用機器「メディセル」を使用した筋膜リリースの方法です。
皮膚の表面をローラーでほぐしながら吸引を行うことが特徴で、素手やローラーなどを使った施術でしばしば問題になる「揉み返し」が少ない施術として注目されています。
また、メディセルは、接骨院や整骨院の他にも、スポーツの現場やエステ業界などで取り入れられています。
おわりに
頑固で強烈な腰痛は、日常生活にも支障をきたしている人が多い症状です。
早めの対策を行って腰痛の悩みから解放されましょう。