ゆるっく用語辞典

「ジャンパー膝(膝蓋腱炎)」って何?

ジャンプはスポーツで頻繁に行われる動作のひとつです。
バレーボールやバスケットボールのように高く跳ぶものから、テニスやバドミントンのように繰り返しステップを踏むものなど、さまざまな競技で素早くジャンプするための能力が求められます。
また、サッカーやラグビーのようにダッシュや急停止を繰り返す競技も、ジャンプのための能力が使われています。

そうした中で、特に気を付けなければいけないのがジャンパー膝ではないでしょうか。
今回は、多くのスポーツで行われるジャンプとの関係が深い、ジャンパー膝についてのご紹介です。

「ジャンパー膝(膝蓋腱炎)」って何?

ジャンパー膝とは?

そもそも、ジャンパー膝とはどのようなものでしょうか。
ジャンパー膝は、膝のオーバーユース(使いすぎ)によって引き起こされるスポーツ障害の一種で、別名「膝蓋腱炎」と呼ばれています。

スポーツ障害という言葉については、以前の記事でも詳しくご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

【関連記事:「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」その対処法と予防法】

膝のすぐ下には、「膝蓋腱」という組織があります。
膝蓋腱は膝のお皿の骨(膝蓋骨)と膝から下の骨(脛骨)をつないでいる靭帯です。

膝の曲げ伸ばしや着地の衝撃など、ジャンプすると膝蓋腱に負荷がかかります。
長時間のプレイでジャンプを繰り返すうち、次第に膝蓋腱への負荷が大きくなって炎症を起こします。
この状態がジャンパー膝です。

ジャンパー膝の原因は?

ジャンパー膝の主な要因としては、筋力や柔軟性の不足、左右の筋力のバランスが悪いといった点が挙げられます。
筋力や柔軟性が不足したり、左右の筋力のバランスが崩れることで、同じ動作でも膝への負担が非常に大きくなり、ジャンパー膝につながる可能性が増えていきます。

ジャンパー膝を発症すると…どうなる?

ジャンパー膝は膝蓋腱で起きる炎症です。
膝を動かすたびに痛みが走り、プレイ中のパフォーマンスに影響が出ることもあります。
軽度の症状だとプレイへの支障はなく、プレイ後に多少痛む程度ですが、最も重度のものになると、膝蓋腱が完全に断裂して歩けなくなるケースもあります。

ジャンパー膝と似たような症状のものに「オスグッド・シュラッター病」があります。
オスグッド・シュラッター病も、膝に強い痛みが起きることが特徴ですが、こちらは成長期の膝にみられる症状で、成長とともに痛まなくなることが多いとされ、ジャンパー膝とは分けて考えられています。
オスグッド・シュラッター病については、過去の記事でもご紹介しているので、そちらもぜひ。

【関連記事:スポーツをする学生さんに多い「オスグッド・シュラッター病」とは】

ジャンパー膝対策をしよう

ここまで、ジャンパー膝とはどういうものかをご紹介してきましたが、ここからは、ジャンパー膝を発症したときの対処法や、ジャンパー膝を発症させないように予防する方法をご紹介します。

ジャンパー膝を発症したときの対処法

ジャンパー膝を発症してしまったときの対処はどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものを2つご紹介します。

PRICE処置

プレイ中にいきなり強い痛みが襲ってきた場合には、PRICE処置がおすすめです。
PRICE処置とは、プレイの最中にケガや痛みに襲われた際に、痛みや炎症を抑えることを目的として行う処置です。
応急処置として行うべき5つの単語の頭文字を並べたもので、「P:Protection(保護)」「R:Rest(安静)」「I:Ice(冷却)」「C:Compression(圧迫)」「E:Elevation(挙上)」となっています。

以前の記事で詳しくご紹介していますので、そちらもご参照ください。

【関連記事:応急処置最前線!ケガに対する「PRICE処置」とは】

保存療法

痛みが長期間続く場合は、保存療法をとることが多いです。
保存療法は、手術などをせず、身体を傷つけずに症状にアプローチする方法全般を指す言葉です。
ジャンパー膝の場合は運動強度を減らしたり、ギプスやサポーター、テーピングなどの装具を取り付けたりして、膝への負担を減らすことに比重を置いた方法です。

状況によって正しい方法が異なるので、膝の痛みが気になったり、PRICE処置後に痛みが引かない場合は、できるだけすみやかに病院で診察を受け、保存療法などの適切な対処を行いましょう。

ジャンパー膝を発症させないために

ここまで、ジャンパー膝を発症したときの対処をご紹介しましたが、そもそも、ジャンパー膝を発症させないに越したことはありません。
ジャンパー膝を発症させないためには、膝のケアを怠らないことが大切です。

筋力トレーニング

筋力トレーニングは、筋肉のパフォーマンスを向上させるために行うトレーニングです。
下半身の筋力が落ちると、膝を曲げたりジャンプしたりするときに筋肉が身体を支えられなくなり、ジャンパー膝のようなトラブルが起こりやすくなると言えます。
筋力トレーニングで膝を支える筋力をアップし、ジャンパー膝にならないように対策しましょう。

テーピングやサポーター

ジャンパー膝を発症した時の対処法と同様、テーピングやサポーターなどの着用はジャンパー膝を防ぐことにもつながります。
テーピングやサポーターを装着することで、膝周りの筋肉や骨、膝蓋腱への負担を少なくし、ジャンパー膝を発症しにくくします。

筋膜リリース

近年話題の筋膜リリースも、膝のケアに取り入れることができます。
筋膜リリースとは、身体のさまざまな組織を包んでいる筋膜をほぐして、血行の促進や筋肉の緊張の緩和などを目指す、施術や運動の総称です。
膝周りの筋膜をほぐすことで、膝を支える筋肉の柔軟性を保ち、ジャンパー膝の原因のひとつと言われる膝周りの筋肉の柔軟性不足を補うことにつながります。

筋膜リリースには、道具などを使って自身で行う「セルフ筋膜リリース」と、治療院や施術院、ジムやサロンで施術を受ける「筋膜リリース療法」があります。

【関連記事:筋膜は1つじゃない!今さら聞けない「筋膜」とは】

【関連記事:筋膜リリースのホントの意味、知っていますか?】

【関連記事:筋膜リリースは自宅でできる?「セルフ筋膜リリース」とは】

このように、さまざまな方法でジャンパー膝にならないためのケアを行うことが可能です。

 

いかがでしたか?
今回は、さまざまなスポーツで起こる「ジャンパー膝」についてご紹介しました。
ジャンパー膝は、スポーツをしている多くの人に関わる症状です。
また、ジャンパー膝が発症していたとしても、試合の勝敗にこだわったり、プレイ中のちょっとした筋肉痛と勘違いしたりといった理由から、知らず知らずのうちに無理をして、症状が悪化しやすいものです。
最悪の場合は膝の腱が切れて歩けなくなるため、無理はせず早めに病院で受診するなど、適切な対処を行いましょう。

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