肩こりって具体的にはどんな症状?
そもそも肩こりとは、具体的にどのようなものを言うのでしょうか。
肩こりは「症状」のひとつであり、「病名」ではありません。
首、背中の上部、肩関節のうち一部もしくは全体に圧迫感や不快感、痛みなどを感じる状態のことを総称して「肩こり」と呼んでいます。
肩がこったとき主に起こるのは、筋肉の緊張による収縮です。
筋肉が収縮した結果、血管も収縮して老廃物が溜まりやすくなり、肩の筋肉に「発痛物質」が生まれて痛みを引き起こしたり、「疲労物質」が溜まって肩が重くなったような感覚に襲われたりします。
また、こりや痛みが発生することによって筋肉がさらに緊張し、症状がより悪化する「負のスパイラル」に陥ることもあります。
※ちなみに、肩こりと間違われやすいのが四十肩や五十肩ですが、それらは正式名称を「肩関節周囲炎」というれっきとした病気であり、肩こりとは別物です。
四十肩・五十肩と肩こりが同時に起こるケースもあります。
肩こりの原因は?
肩こりは何が原因で起こるのでしょうか。
日常生活の中で、肩こりにつながる主な原因としてあげられるのは「血行不良」と「筋肉の機能低下」の大きく2つです。(他の病気などが原因で引き起こされているケースもありますが今回は割愛します。)
そして、血行不良や筋肉の機能低下は日常の様々な原因によって引き起こされます。
ここからは、日々の生活の中で肩こりにつながる血行不良や、筋肉の機能低下を引き起こす原因をご紹介しましょう。
原因その①食生活の乱れ
毎日の食事のタイミングがバラバラだったり、栄養価の偏った食事ばかりしていると、身体のすみずみまで栄養が行き渡らず、血行や筋肉の機能が低下して疲労物質が溜まりやすくなります。
その結果のひとつとして肩こりが引き起こされます。
肩こりの他にも、食生活の乱れは睡眠不足や肥満などにもつながるので要注意です。
原因その②運動不足
血行不良の原因の代表例といえば運動不足です。
特に仕事をしている人は、運動をするための時間を確保できないことも多く、運動不足になりがちです。
運動不足だと代謝が落ちて血行が悪くなるので、肩こりの他にも、むくみ、肥満などの原因にもなります。
原因その③長時間同じ姿勢でいる
長時間同じ姿勢でいることも肩こりの原因になります。
肩や首の筋肉は、立っているときも座っているときも、場合によっては寝ているときでさえ、絶えず頭を支え続けています。
長時間同じ姿勢でいることで、頭を支えている筋肉に対して特定の方向に負荷がかかり続けます。
特に猫背など、一般的に「悪い姿勢」と呼ばれる姿勢や体勢は、肩や首にかかる負荷が非常に大きいため、首や肩の筋肉に疲労物質が溜まって肩こりを引き起こす要因のひとつといえるでしょう。
原因その④眼精疲労
パソコンやスマホの普及とともに取りざたされる機会が増加したのが眼精疲労による肩こりです。
実は目の筋肉は、肩や首の筋肉と密接に関係しており、目の周囲の筋肉が緊張すると同時に肩や首の筋肉も緊張します。
眼精疲労が起こるということは、それだけ目の周りの筋肉を酷使しているということでもあり、ひいては肩や首の筋肉にも大きなストレスを与えるため、筋肉が緊張して肩こりへとつながっていきます。
原因その⑤寒さ
寒さは血行を滞らせる大きな要因のひとつです。
冬の寒い時期はもちろん、夏場でも室内に冷房をガンガンに効かせた状態だと身体が冷え、血行が悪くなっていきます。
「運動不足」「同じ姿勢」「眼精疲労」「寒さ」の4つが複合した状況になりやすいことから、デスクワークの仕事は、非常に肩こりが起こりやすい条件がそろっているため注意が必要です。
原因その⑥ストレス
精神的なストレスは、無意識のうちに筋肉に緊張をもたらし、疲労物質や発痛物質が生まれて肩こりへとつながっていきます。
また、肩こりからくる痛みや不快感でさらにストレスが溜まっていき、さらに肩こりが悪化する、という負のスパイラルを生み出しやすい原因のひとつとなっています。
肩こりの対処法
さて、ここまでは肩こりが起こるまでのしくみと原因についてご紹介してきましたが、ここからは肩こりが起こらないように自分達でできる予防法や、肩こりが起きたときの対処法についてご紹介します。
予防:肩こりが起こらない生活習慣をつくる
まずは、肩こりを予防するための方法ですが、病気やケガの場合を除けば、基本的に生活習慣を見直すことで予防できます。
具体的に見ていきましょう。
食生活を見直す
「何を当たり前のことを…」と思われたかもしれません。
また、いきなり食生活を見直すように言われても難しいと感じる人がほとんどではないでしょうか。
そこでまずは、一食あたりの量を調整するようにしてみましょう。
「一食あたりの量を調整する」とは、食べる量を「朝を多く、お昼は普通、夜を少なく」して食事するという方法です(総量を増やしたり減らしたりする必要はありません)。
朝に多く食べてから仕事に就くことで、身体が目覚めて血行を促進しやすくなります。
また、就寝中でも食べ物を消化するために身体は働いているので、夜にご飯を多く食べる人は休むべき時に身体が休みきれていないケースが多いです。
疲れやストレスが体に残ったままなので、仕事中に肩こりに悩まされることも増えていきます。
ちなみに、朝起きたときに胃がもたれて調子が出ない…という人も、晩ご飯の食べ過ぎが原因の1つといわれています。
まずは「朝多く、夜少なく」の食生活を試してみてはいかがでしょうか。
定期的にストレッチを行う
特に、仕事で長時間同じ姿勢になることが多い人におすすめなのが、30分に1度程度のペースで、肩や首のストレッチを行う方法です。
両肩をぐるぐると回したり、首を左右に伸ばしたりすると、溜まっている疲労物質が血流で流れやすくなるほか、猫背気味になっていた姿勢をまっすぐに伸ばすきっかけにもなります。
猫背は、肩こりだけでなく腰痛の原因としても有名なので、定期的にストレッチを行うことで腰痛への対処も期待できます。
また、パソコンやスマホを見ることが多い人は、肩と首だけでなく目の周りの筋肉も軽くストレッチすると良いでしょう。
1分~2分ほど目をつぶったり、目元を揉みほぐしたりといった方法が効果的です。
対処:肩こりが起こった時の対処をする
すでに肩こりの症状が出ていたり、体質的に肩こりの予防が間に合わない場合、起こってしまった肩こりへの対処を行う必要があります。
接骨院や整体・マッサージなどで痛みや不快感が気にならないようにする
どうしても肩こりが気になるという人は、応急的に接骨院や整体、マッサージなどで揉み解してもらうことで、肩こりによる痛みや不快感をまぎらわせて対処していきましょう。
接骨院や整体、マッサージなどの施術者は、痛みに対して手技や超音波、メディセル筋膜療法のような筋膜リリースなどの施術を行いアプローチしていきます。
※ただし、あまりにひどい痛みや不快感がある場合、肩こり以外の別の症状や病気の可能性を考慮して、整形外科を受診した方が良いでしょう。
本気で対策するなら整形外科を受診
本気で肩こりの対策をするのであれば、まずは整形外科への受診をおすすめします。
なぜなら、整形外科は医療行為である「診断」を行い、肩こりを引き起こした原因を特定することが可能だからです。
接骨院や整骨院、整体などの院では施術を行うことはできますが、診断を行うことは禁止されています。
整形外科で診断を受けて肩こりの原因を特定し、その場で治療を受けたり接骨院や整骨院に紹介状を書いてもらったりして、最適な方法で肩こりへ対処しましょう。
いかがでしたか?
今回は、日常に潜む悩みの1つとして肩こりについてご紹介しました。
肩こりの原因にはさまざまなものがあります。
普段の暮らしの中でも予防する方法はいくつかあるので、まずは肩こりが起こらないように予防し、万が一起こった場合には適切な対処をして、肩こりから解放されましょう。