スポーツをする人にとって、選手生命に影響を与えかねない「ケガ」や「障害」には万全の注意をしたいですよね。
特に中高生は、学校の部活動や地域のスポーツクラブなどで激しく練習を行う人もおり、骨や筋肉が成長途中なこともあってなおさら注意が必要です。
本人はもちろん、周りの人もスポーツ時のケガや障害の正しい知識と対処法・予防法を知っておき、必要に応じてすばやく動けることが大切です。
そうした適切な対処や予防のために、今回の記事が参考になれば幸いです。
スポーツ時のケガ・障害の定義
スポーツ時に発症するケガや障害は、「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の大きく2種類に分けられます。
それぞれ見ていきましょう。
「スポーツ外傷」はスポーツ時に発症する「ケガ」
スポーツ外傷とは、スポーツ時に身体の外から強い衝撃や圧力が加わることで起きるケガの総称です。
ジャンプやダッシュ、ステップを踏むときに起こりやすい「肉離れ」や「捻挫」、ラグビーのタックルや野球のクロスプレーといったプレー中の激しい接触で起こりやすい「打撲」や「骨折」、「脱臼」などが挙げられます。
これらのケガは日常生活で起こることもありますが、「スポーツ時の外傷」ということもあって、比較的軽い症状の場合に気付かなかったり気にせずに放置して重症化するケースもあります。
※例えば、打撲した部位の筋肉の一部が骨に変わる「異所性骨化(いしょせいこっか)」や、捻挫で損傷した靭帯が放置されたことによって損傷拡大し、「靭帯断裂」につながる等。
重症化すると長期間の治療が必要になるだけでなく、元のパフォーマンスに戻すためのリハビリも必要になるので、できるだけ早期に対処することが大切です。
「スポーツ障害」はスポーツで酷使された身体に起きる「障害」
スポーツ障害は、スポーツなどで身体を酷使する「オーバーユース」によって引き起こされるさまざまな障害の総称です。
運動中に身体にストレスやダメージが蓄積していき、発症時には痛みや機能低下を引き起こします。
また、スポーツ外傷に比べて慢性化しやすいという特徴もあります。
スポーツ障害の例としては、テニス肘やジャンパー膝、アキレス腱炎、疲労骨折などが挙げられます。
スポーツ外傷やスポーツ障害を発症したら
スポーツ外傷やスポーツ障害について、大まかな定義はお伝えしました。
ここからは、実際にスポーツ外傷やスポーツ障害を発症した際に、どのような対処をすると良いのかについてご紹介します。
発症時には「PRICE処置」をしよう
「PRICE処置」とは、ケガをした際に現場で行う応急処置として大切な5つの処置をまとめたもの。
Protection(保護)、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の5つの英単語の頭文字をとったもので、「患部の状態をこれ以上悪化させないようにする」ことが目的です。
スポーツ外傷は「ケガ」なのでもちろんですが、実はスポーツ障害を発症したときについても、基本的にPRICE処置を行うことをおすすめします。
スポーツ障害を発症するとき、患部は炎症を起こしていることが多いです。
炎症は痛みを生むだけでなく、腫れて周囲の組織を圧迫して身体の動きや体液の流れを阻害し、元の状態に戻るまでの期間が長引いたり、体調の悪化にもつながります。
そのため、スポーツ外傷やスポーツ障害を発症したときには、できるだけすぐにPRICE処置を行い、症状の悪化を防ぎましょう。
PRICE処置について、詳しくは以前の記事でご紹介していますので、そちらもぜひ!
【関連記事:応急処置最前線!ケガに対する「PRICE処置」とは】
応急処置後はできるだけ早く治療院や施術院に行こう
PRICE処置を行った後は、なるべく早くかかりつけの整形外科や整骨院、接骨院で治療や施術を受けましょう。
受診までの期間が長引けば長引くほど、患部が元のパフォーマンスを取り戻すまでに長い時間が必要になる可能性があります。
スポーツ外傷やスポーツ障害を予防しよう
さて、ここまでスポーツ外傷やスポーツ障害を発症したときの対処法をご紹介してきましたが、そもそもそれらが起こらないように予防できるなら、それに越したことはありません。
ここからは、スポーツ外傷やスポーツ障害の予防についてのご紹介です。
運動前のウォーミングアップは十分に
運動前のウォーミングアップは、運動時のパフォーマンス向上につながるだけでなく、スポーツ外傷やスポーツ障害の予防にもなります。
「スポーツ外傷はケガなんだから関係ないだろう」と思うかもしれませんが、入念なウォーミングアップをすると筋肉の柔軟性が高まり、運動時の衝撃や負荷への耐性が強くなるので、スポーツ外傷を起こしにくくなります。
だからこそ、まずは運動前のウォーミングアップを入念に行うことが大切です。
身体に見合った練習をしよう
適切なフォームや練習量にすることで、スポーツ障害の予防ができます。
スポーツの世界では「毎日が試合(本番)」ということはあまりなく、多くの時間が練習に割かれることでしょう。
そのため、練習が適切に行われているかどうかで身体のコンディションやパフォーマンスに大きな影響を与えます。
特に、フォームが正しくなかったり過度の練習をすると、身体に必要以上の負荷がかかってスポーツ障害につながりやすくなります。
中高生の場合成長期であるため、身体に見合ったフォームや適切な練習スケジュールは成長に合わせて変わっていくので、チームのトレーナーやかかりつけの治療院、施術院などの専門家のもとで、自身の身体に見合った練習方法を身につけると良いでしょう。
どこに行けばよいのかわからないという人への目安として、スポーツ整体を実施している整骨院やスポーツトレーナーのいるジムなど、スポーツの専門的な知識を持っている人に相談するのがおすすめ。
正しい身体の動かし方や自分に合った練習スケジュールの立て方を教えてくれるほか、自分でも気づかないような異常に対して、プロの目線で矯正や施術を行ってくれることもあります。
「スポーツ整体って何?」という人は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
運動後のケアを忘れずに
運動後の筋肉は疲労物質や発痛物質が溜まった状態です。
運動後にケアを行い素早く疲労や痛みを取り除いて、翌日以降も万全のコンディションにしておくことがスポーツ障害の予防には大切です。
運動後のケアとしては「筋膜リリース」がおすすめ。
筋膜リリースは手技や電気、メディセルという専門の器具を使用して筋膜をもみほぐし、筋肉の緊張を取り除いたり、血流の促進などを目的として行う施術です。
また、筋膜リリースは「マッサージ」の側面も持っているので、スポーツ外傷予防の目的だけでなく、気分のリフレッシュを目的として行っても良いでしょう。
筋膜リリースは自身でできる物もあれば、整骨院や整体などで施術を受けることもできます。
より安全で確実にケアをするのであれば、プロの手で施術を行ってもらうことをおすすめします。
【関連記事:マッサージはなぜ気持ちいいの?そのメカニズムをご紹介】
いかがでしたか?
今回はスポーツ外傷とスポーツ障害についてご紹介しました。
それぞれに細かな違いはあるものの、スポーツ時に起こりやすいことや、放置していると後々まで悪影響を及ぼすことから、どちらも早期に解決すべきだという点は変わりありません。
適切な対処と予防を心がけ、充実したスポーツライフを送りましょう。