捻挫、打撲、骨折、脱臼、etc…
日常生活やスポーツ現場で起きてしまうケガに対して、正しい応急処置を行えば、その分元に戻るまでの時間が早まると言われています。
しかし、どんな処置をすればよいのかを細かく知っている人はそう多くはないでしょう。
今回は、ケガへの応急処置として行っておきたい「PRICE処置」についてご紹介します。
※メディアによっては、「安定・固定(Stabilization/Support)」の頭文字である「S」を加えて「PRICES」とする場合もありますが、処置としてやるべきことは変わりませんので、今回は「PRICE処置」と呼びます。
PRICE処置とは
PRICE処置は、ケガをしたときの応急処置として押さえておくべき5つの英単語の頭文字をそれぞれとったものです。
筋肉や周辺組織の腫れ・炎症を抑え、症状の長期化をくい止める目的で行われます。
それぞれ見ていきましょう。
P:Protection(保護)
まずはケガが悪化しないように、患部を保護しましょう。
患部を何かにぶつけたり不用意に動かすと、刺激が加えられて炎症が長引くことがあります。
それを防ぐために、安全に休息ができる場所に移動したり、状況に応じてテーピングや添え木、ギプスなどで周囲を保護・固定して、患部にかかる負荷を減らします。
普段の生活の中では、ギプスのような「保護専用のもの」が近くに無いことが多いですが、その場合はタオルや上着、棒状のもので代用可能なので、患部をしっかりと保護しましょう。
R:Rest(安静)
ケガをした後でも運動を続けてしまうと、身体の循環が活性化して患部に体液が多く流れ込み、炎症箇所の内出血や腫れが長引く可能性があります。
そのため、患部の場所に関わらず、できれば運動そのものを止めて安静にしましょう。
※実は現在、「R:Rest(安静)」は「OL:Optimal Loading(適切な負荷)」の方が応急処置として良いものだと言われています。
患部に適切な負荷を与えて体液の循環を促すことで、必要な栄養が患部に行き渡り、また炎症によって生まれた老廃物が回収され、身体が持っている修復機能を最大限に発揮し、ケガからの復帰を速めるねらいがあるそうです。
しかし、ケガをした際の「適切な負荷」は、年齢や体格、体質、ケガの度合い、ケガをした部位などによってまったく異なります。
弱すぎる負荷ではあまり意味がありませんし、強すぎる負荷だと損傷が悪化してしまう恐れがあります(骨折の場合はそもそも負荷をかけること自体ができません)。
ケガに対する専門的な知識や経験がなければ、適切な負荷を知ることは難しいです。
そのため、自宅やスポーツ現場などで適切な診断ができる人がいない場合は、まずは安静にしておき、整形外科や接骨院、整骨院などの外傷に関する専門家で受診して、どのくらいの負荷が適切なのかを正しく知ってから負荷をかけ始めることをおすすめします。
I:Ice(冷却)
できるならケガの直後に行っておきたいのが、患部を冷却(アイシング)することです。
アイシングによって血管が収縮するので、患部への血流を抑えて内出血や腫れを緩和します。
ビニール袋で氷を包んで、タオルや包帯の上から患部を冷やす方法が一般的ですが、すぐに用意できない場合は、冷水で冷やしたタオルを患部に当てるだけでも意味があるので、必ず行っておきましょう。
C:Compression(圧迫)
包帯やテーピングなどで患部を圧迫します。
目的はアイシングと同様、患部への血流を抑えて内出血や腫れを緩和することです。
もちろん、アイシングと圧迫の両方の処置を行うことで、その効果は高まります。
あまり強く圧迫しすぎると逆効果になる(「保護」の処置と相反する)ので、きつすぎない程度に行いましょう。
E:Elevation(挙上)
人間の血液は、心臓によって全身に送られ、循環して心臓に戻ってきます。
しかし、ケガをすると送られた血液がケガの箇所で溜まり内出血や腫れにつながります。
患部を心臓よりも高い位置に挙げることで、重力によって血液が患部へ向かうのを抑制し、血液が患部に溜まるのを防ぐことができます。
これらPRICE処置を適切に行うことで、ケガの痛みを緩和し、早期の活動再開につなげることができます。
※PRICE処置はあくまで応急処置※
さて、「ケガをした直後にPRICE処置をしたからもう安心!」とはいきません。
PRICE処置はあくまでも応急処置です。
そのため、ケガをしてしまったらなるべく早く整形外科や接骨院、整骨院、鍼灸院などで適切な治療や施術を受けてください。
もしも治療や施術を受けるのが遅くなった場合、元の機能を取り戻すまでには非常に長い期間が必要になるかもしれません。
いかがでしたか?
今回は、ケガの応急処置として代表的な「PRICE処置」についてご紹介しました。
ケガをしたときに大切なのは迅速な対応です。
すばやくPRICE処置を行い、早めに施術院で受診して、ケガに対処しましょう。